エピローグ

 朝の海が反射した日光で、僕は目を覚ました。ベンチから起き上がると、ぼろぼろになったホームのコンクリートや雑草の茂る線路が見えた。そして手許には、使い古したスケッチブック。最後のページには女性の絵が描かれている。きっと僕には、それだけで十分なんだ。彼女を描いた絵があるという事実だけで、今のところは。僕はそのスケッチブックを閉じて、ベンチの上に置く。もう僕にこれは必要ない。軽く伸びをして歩き始める。僕は無人の駅を後にした。

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無人駅 橘暮四 @hosai

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