あらすじ(応募時のもの。ネタバレ含む)
このあらすじは第11回角川つばさ文庫小説賞に応募した際に添付したあらすじです。ネタバレを大いに含むため、本編をすべて読んだ後に見ることを強くおすすめします。
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小学五年生の松村琴葉は、昔から誰かにひざまくらで頭をなでられる夢を見る。
そんな琴葉が学校帰りに寄り道して入った山の中で、ツノを生やした鬼の女の子と出会う。
なんとその子はしゃべれず、意思疎通を試みるも、ことごとく失敗してしまう。
次の日、四つ葉のクローバーを鬼の子と一緒に探し出し、見つけたクローバーに「あなたがしゃべれますように」と願うと、なんと鬼の子はしゃべれるようになった。
しかしその鬼の子「ヤチ」は、不老不死で、琴葉とは前世で鬼の姉妹だったという。
言葉が話せなかったのは、不老不死の呪いがかけられたとき、その代償として声を失ったから。
そして前世の琴葉は「言霊」の力が普通の人の何倍も強く、それは今の琴葉にも受け継がれているという。
話を聞いているうちに、ヤチの境遇に胸を痛めた琴葉は、「私がヤチの妹になる」という。
それから姉妹として過ごしているとある日、よく見る頭をなでられる夢の、頭をなでてくれるその誰かが、ヤチであったことがわかる。
ヤチに話を聞くと、それは「前世の記憶」が夢となって出てきたという。
さらに別の日、夢の中でヤチが琴葉に向かって「ヤチ」と呼んだ。
このことをヤチに話すと、ヤチは話していなかったことを話す。
ヤチという名は、元々前世の琴葉の名前であったこと、前世の琴葉は七歳になる前に病で亡くなったこと、亡くなる寸前、「お姉さまは生きて」と琴葉が発した言葉が強い言霊の力により不老不死の呪いという形でヤチに降りかかり、同時に声も失ったこと。
琴葉はヤチに本当の名前は何だったかと聞くと、「忘れた」といわれる。
それでもヤチの本当の名前を知りたい琴葉は、ヤチと出会った場所にあったほこらに「ヤチの本当の名前を知れますように」と願うと、気づいた時には前世の自分になっていた。
前世の自分として、昔のヤチと接しているうちに、ヤチの本当の名前が「チトセ」であることを知る。
本当の自分に戻ったとき、ヤチにチトセの名を言うと、ヤチは妹との思い出を思い出し泣き崩れる。
それから、新しいヤチの名前を考え、「ツムギ」という名前を付け、二人は新しい姉妹として歩き始める。
コトダマツムギ 霜月透乃 @innocentlis
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