心に潤いと滋養をもたらす音色

 とある小さなアパート、ひとり暮らしを始めたばかりの男子大学生と、そのお隣さんのちょっとした交流のお話。

 自然で穏やかな空気感が魅力の、静かな日常の物語です。
 あるいは、ほんのり甘酸っぱい出会いの物語。

 お隣に住む年上の女性、氷川さんの造形がとても魅力的。
 初対面からちょっと目を引くギターケース。ときどき壁越しにギターの音が聞こえてきたりもして、それをついつい気にしてしまう主人公に、いつしかすっかり同調させられていました。

 なんだったら恋のお話でもあると思うのですけれど、でもはっきり「恋愛もの」と言い切っちゃうのもまた違う、この「恋愛未満」感がとても素敵なお話。
 ふたりの出会いというか、何か関係の始まりのようなものを予感させてくれるところが大好きな物語でした。