君と好き
友川創希
君と好き
私は今、彼とネモフィラの花畑に来ている。
彼がデートに誘ってくれたのだ。
周囲を取り囲むように広がるネモフィラが、一面に咲き誇り、私たちを優しく包み込んでいる。時々吹く風がネモフィラに命を与えているようだった。
「綺麗だね」
「うん」
私を誘ってくれた彼は結構な物知りで、今日もネモフィラを漢字で書くと瑠璃唐草と書くんだよと教えてくれた。
「ねぇ、写真撮る?」
私はカメラを彼に見せてそう聞く。
「いや、これは目のカメラで撮りたいな。この美しさは目のカメラでしか写せないものがあると思うから」
「うん、そうだね。目で撮ろうか」
彼の言うことに納得してしまう。たしかにその通りだな。
「あの、
ふと彼が私の名前を呼ぶ。
「ん?」
私が彼の方を向いたときにはすでに彼が私の方を向いていた。
「あのさ、僕が『好きだよ』以上の想いを伝えられる言葉を見つけられたら、結婚してください」
彼は少し緊張した様子で私の目をしっかり見てそういった。
「はい」
私は彼の手を握る。
彼がその言葉を見つけられる日が、早く来るといいな。
君と好き 友川創希 @20060629
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