On the sunny side of the street
ヤチヨリコ
On the sunny side of the street
僕は生涯、日向の道を歩いてきた。それを幸運と思ったことはない。
僕は、独り。道を歩く。棒のようなの足に鞭を打って、土を蹴る。
路傍の石は寂しかろな。一人ぽっちで佇んで、おまけに蹴られて踏まれて、それで転んだら石のせい。なんにも悪くないっていうのに、ずっとそこにいる。
雪を踏んだ。僕の足跡は白い雪をちょっぴり黒くして、雪を固めた。
上の雪を羨む下の雪。どっちも羨ましいだろな、真ん中の雪。空の兄弟の顔を下の雪は知らない。上の雪は土に埋まった春の予感を知らない。真ん中の雪はどっちも知らないで、上も下もじっと見てる。
降る雪の冷たさを知らない人は、この世にいるのだろう。
寒風の痛さを知らない人は、この世にいるのだろう。
けど、そんな人は穏やかな春のにおいも知らないんだろな。
そんな詩を僕は書きたい。
路傍の石の寂しさを。上の雪、下の雪、真ん中の雪の寂しさを。そんなものを描きたいと思うのに、どうにも書けずにいる。そう思うのは僕は寂しさを感じたことがないからだと、理解している。そんな自分がどうにも寂しい。
On the sunny side of the street ヤチヨリコ @ricoyachiyo0
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