あとがき
【あとがき――という名の簡単な解説】
はじめましての方ははじめまして、そうではない方はいつもお世話になっております。
吹井賢です。
こちらの『押し掛け彼女な僕の後輩』は、第1回「G’sこえけん」音声化短編コンテストに応募するために作成した短編です。二日で書きました。いや、構想自体は一週間くらい掛けて練ったのですが、本当にすぐに書けました。
というのも、実はこの作品に出てくる『後輩』は、『金曜日には終わる恋』という長編に出てきた『御園春香』と同一人物という裏設定があります。キャラ設定が既に出来上がっているのですから、早く書けるのは当たり前、というわけです。
……そういう背景もあり、ありがたくも最終選考に残った際には「どうしよう……」となっていたのですが……。
まあ、それはあくまで裏設定であるということはお断りしておきたいと思います。ある後輩と先輩がイチャイチャする話として捉えてもいいし、『金曜日には終わる恋』という作品の番外編としても捉えてもいい、というくらいのものです。
久々に台本形式の話(セリフのみで話が進行する作品)を書いたのですが、なんと言いますか、面白かったですね。
何せ、片方の台詞しかないので、物語の余白が滅茶苦茶に大きいのです。解釈の余地が大きい、とも言い換えられます。それ故に、「ある後輩と先輩の話と捉えてもいいし、『金曜日には終わる恋』の続編と捉えてもいい」という造りにできたのだと思います。
作中に「その気もないのに優しくして、悪い人」という旨の台詞が出てきますが、その気がなかったかどうかは実のところ、分からない。だって描写されてないわけですから。“せんぱい”を“読者”と捉えるのなら、読者の心情次第です。
「朝まで隣にいてください」というお願いに、先輩はどう応じたんでしょうか? これも色々と考えられる部分です。「分かった、隣にいるよ」と言ったのか、黙って抱き締めたのか、「同情なわけないだろ。俺も好きだよ」と返したのか……。
そして、その後、夜はどうなったんでしょうね?
さて、一応、『金曜日には終わる恋』の番外編でもあるので、そう解釈した場合の解説をしておきたいと思います。
時系列的には向こうの物語終了から数年後です。“せんぱい”こと柊木野創一は既に一人暮らしをしているようです。そこに、後輩である御園春香がいつものように現れて……。という感じになります。関係性は不明ですが、まだ付き合ってはいないようですね。
数年後、という設定もあるので、春香の言動はそのままのようでいて、少しばかり、変化しています。自分の行動について、「ワガママだけど、せんぱいは優しいから許してくれている」と自覚していますし、無自覚だった「同情を誘って関係性を進めようとしていた」という本心に思い至った後は自己嫌悪を見せています。また、恐らく『金曜日には終わる恋』の頃には分からなかった(というよりも知らなかった)、霞の気持ちが、ようやく実感として分かったようです。
けれども、やはり春香は、「自分は創一のことが好きだ」「仮にこの恋が終わってしまっても、何度でも恋をする」という結論に落ち着きました。そして同様に、「何度でも恋をしてもらえるような素敵な女の子になる」と。
上述の恋に対する捉え方もそうですが、細かな言葉遣いやワードセンス等は、『金曜日には終わる恋』の御園春香と共通させています。何処が共通している点か、分かる人はいるでしょうか? いるといいな。なお、春香のイメージソングの一つは『絶対特権主張しますっ!』で、今回もいくつかパロディをしているので、そちらも良ければ探してみてください。
また、是非「“せんぱい”が柊木野創一だったとして、彼はどのように反応したのか」を想像していただければと思います。
この作品が、皆様の一時の楽しみになれば、それが作者にとって最高の喜びです。
それでは、吹井賢でした。
押し掛け彼女な僕の後輩 吹井賢(ふくいけん) @sohe-1010
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