第53話:期末テスト
咲子と正洋はそのまま同じタイミングで教室に入った、クラス内は緊張が走っているのが空気として伝わる。咲子の目にはその中にも若干、気を緩めいつものように振舞っている男子学生の姿が映る、咲子としてはそういった存在は特に気をとめることもなく、過ごしていた。すこし気が抜けているといわれる咲子だったが、その日は自分でも感じるぐらいには緊張している。
咲子(よし!、今日はがんばるぞ!)
隣の席の正洋も着席し、鞄から教科書を取り出し、目を通しているようだ。咲子はそんな正洋を見て、すこしほんわりして、気が緩むのを感じる。
咲子(すこし、まーこを目の保養にしよ、いいよね。ふんふん、教科書に目をとおしてるのね、いいざんしょ)
少しの時間が流れる、今日はいつもよりすこし、静まりかえった空気がながれている。咲子は今日は帰宅途中にあるシュークリーム屋の事をかんがえていると、クラス担任の八丁百合香は入ってくる。
八丁「はい、みなさんそろっていますね。今日から期末テストです。3日間で、午前中にはおわるけど寄り道しないように、まっすぐ帰るのよ」
朝の、点呼をとる。いつも通りだ、終えると八丁は退出した。クラスには沈黙の時間がながれる、少しして優紀院の教師があらわれる、数学の教師である。
優紀院の期末テストは、国語・数学・英語・理科・社会 情報・保健体育・家庭科・美術・音楽 の10科目である。本日の最初の科目は「国語」
問題の冊子と回答用紙が順に配られる。テスト開始までの時間が流れる、咲子は緊張を感じ思考も沈黙していた。テスト開始がつげられる。
咲子(ようし、頑張るぞ)
期末テストの時間は50分、咲子は問題を解き進めていく、古典とか何が書いてあるかは不明だったが、なんとか回答を埋めていく。
咲子(ふうっ出来た、出来た、まだ時間あるよね。見直せそう)
咲子は回答用紙に書いていある自身の手による回答を見直していく。国語の回答なんて、どれが真実でもいいような気がするが、正解なんてあるのか疑問だった。
テスト時間はまだある。余裕が咲子にうまれた。隣の席の正洋をみる。回答の筆記は終わったようで、自身の回答を見直しているようだ。クラスに若干弛緩した空気が流れる。咲子はすこし気を緩め、一息つく。
咲子(まーこめ。油断しないなぁ。最後まで見直すのかな。リメンバー・まーこめ)
国語のテストの時間がおわった。回答用紙が回収される。問題用紙は持ち帰っていいようだ。休憩時間は10分、クラスはあわただしくなった。トイレに行くものが多い様だ。その日は残りの3科目がおわるまで、クラス内のだれとも大げさな話をすることもなく終わった。昼は一人でたべる、正洋と少し話をして気がすこし和らぐのを咲子は感じた。
4科目の期末テストがおわった。少しして担任の八丁がくる。
八丁「はい、お疲れ様でした、本日は終わりです。あと2日あるからね、まっすぐ帰っておとなしく過ごすしてね」
女子生徒「八丁ちゃんも帰るんですか?」
八丁「私はいろいろやることあるんだよ、もう」
生徒たちが帰宅し始める。
正洋「じゃあ、僕は帰るよ宇田川さん」
咲子「うん、私は律子をさそっていく、じゃあね石坂君」
咲子(あとで、あと2日、登校誘おうっと、LINEだけどいいよね)
律子のクラスにいくと、律子と明がおしゃべりをしていた。咲子に気付くと、律子は軽く手をふる。
律子「つかれたね、緊張しちゃった」
咲子「どうだった?」
律子「まあまあかな。復習したところでたし、というか期末テストの範囲説明あったしね。」
明「結構、つかれるよ。おわったらどうだい咲ちゃん」
咲子「なにが」
咲子はすこし笑い調子でこたえる。
明「どこか遊びにいかないってことさ」
咲子「アピタとか?」
明「近いね、いいよそこでも、フードコートがあるから少しおしゃべりして」
律子「私もさそわれてるよ、うーんかんがえとく、じゃあ帰ろうか咲子」
明「残念、それほど遠くないんだよね、俺んち」
二人は明と別れて、帰宅の途につく。律子によると美子は頭が痛いから帰って寝るそうだ。
綱島駅まで二人してああでもない、と話をする。律子はまあまあの自信があるようだった。綱島駅に着く、咲子の提案で東口のシュークリーム屋で買い食いをすることにした。単品のシュークリームを頼む。
咲子「ああ、はいはい頭が糖分もとめてるわぁ」
律子「わかるけどね。ねえ、咲子、あれ」
二人はシュークリーム屋の店舗の側面のガラスを背に食べている。目の前には自治会の掲示板がある。
咲子「ふひ? お!」
咲子の視野内には赤の付箋がある。対角線上に挟むようにして貼られたそれの、中心の存在に気付く。QRカードだ。
咲子「まーこめぇ」
律子「あ、やっぱわかるか」
咲子「リメンバー・ミー・まーこめぇ」
律子「売上あるといいね」
咲子「読みましたとも、むふふ。」
律子「そういえばさ、テスト期間おわったら、メイド服着るってわたしたち。」
咲子「ええ、着るのぉ!」
律子「南雲先輩に話が回ったみたい、楽しみにしてるって、だれが通したんだろ」
咲子「悟君は、しなさそうだし。うむむ。だれだ犯人」
律子「当日はデザイン研究室が場所をセッティングしてくれて簡単な撮影会だってさ、うーん、どうしよ」
咲子「着るのかい」
律子「資料にするって、あはは日常なのかなぁ。”非”のほうだよねぇ」
私の彼氏候補たちの才能がニッチすぎる件 石坂正洋 @tokomatsu1221
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