カラス天狗と人間の半妖である流樹は、人間世界で暮らしながら、人間世界とあやかし世界の狭間にある『かくりよ』に出入りをして日々過ごしていた。ある日、ひょんなきっかけで流樹は妖怪王の妖狐九尾白銀に出会い、幕末時代のかくりよに飛ばされてしまう。そこで出会った坂本龍馬と猫又の菜々芽とともに、探偵事務所を開くのだが……。
人間世界とあやかし世界の狭間『かくりよ』を舞台にした物語は、魅力的な妖怪たちが勢揃いしています。人間世界に影響を受けたあやかしたちは、可愛かったりカッコ良かったり、どれも個性的。特に妖怪王の白銀は、魅惑的な色気が漂っていて、王たる威厳と妖麗さを感じました。
物語は流樹の一人称で進み、中学生男子らしい軽やかなテンポで進みます。
最初は、力の弱い半妖である自分にコンプレックスを抱いていた流樹ですが、幕末かくりよに来て、坂本龍馬や菜々芽と関わるうちに成長していく姿がカッコ良かったです。
個性的なキャラクターとともに紡がれる、ワクワクする幕末かくりよ活劇!
たくさんのあやかしが登場するので、妖怪もの好きな方にオススメしたいです!
人間の父とカラス天狗の母を親に持つ中学生の男の子、風花流樹。
普段は現代の人間社会で暮らし、時に妖怪のいる『かくりよ』に行き、穏やかな生活を送っていた彼ですが、ある日事件が。
なんと妖怪王、妖狐九尾白銀の手により、幕末にタイムスリップさせられてしまうのです。
妖狐九尾白銀の目的は流樹に言います。烏丸天狗の大団扇を探せと。
半妖とはいえ、中学生の男の子が幕末で探し物なんてできるでしょうか?
きっと大丈夫。だって彼には、仲間がいますから。
幕末の時代でできた仲間。それは猫又の女の子、菜々芽。そして幕末の英雄、坂本竜馬。
流樹は彼らと一緒に探偵事務所を開き、妖怪絡みの事件を解決しながら、大団扇を探すことに。
たくさんの妖怪が出てくる、和風ファンタジー時代劇。
可愛い、格好いいキャラクターがもりだくさんの、楽しいお話です。
時は幕末。幕府だの薩長だのに分かれて国中が大きく揺れていたこの時代、妖怪の世界も穏やかではありませんでした。
そんな時代にやってきたのは、令和の世を生きる半妖の天狗、風花流樹。
彼は妖怪王の依頼を受け、混乱したトキの渦を収めることのできる、『天狗の大団扇』を探しに来たのです。ただし、本人の意思は無視した、半ば強制的に近いものですが。
右も左もわからない時代に来てしまい、しかも妖怪と言っても半妖なので、大きな力もない流樹。しかし彼には、頼りになる味方がいました。
一人は、猫又女子の菜々芽。そしてもう一人は、なんと幕末の大スター坂本龍馬。歴史好きなら、大喜びしてサインをもらうようなお方です。
そんな本作。幕末の描写はもちろん、そこに向かうまでの現代パートもとても丁重に書かれています。
早く幕末に行くのを見たいと思う方もいるかもしれませんが、こちらもとっても重要。
何がどう重要になってくるかは、最後まで読めばわかります。