双子、偽り合いをします。

@-baula-

第1話 あの子は"ずるい"

(いいなぁ…菜乃の周りには人がいる…)


宇佐美家の双子は真反対だ。

性格も、頭の良さも。

菜乃の方が上だった。


「桃乃も一緒に遊ぼうよ!!みんなもいいでしょ?」

「え〜…桃乃ちゃんは…」


毎日遊びに誘われ、その場で断られる。

いや、お前ら人の心あんの??


「絶対心無いでしょ… ボソッ」

「え…?」


ボソッと呟いたつもりが、周りの人には聞こえていた。

その時私はおわった…と思った。


「桃乃ちゃん酷いっ!!私のこと、馬鹿にしてきたよぉっ!!」

「は…?」


鳴り響く五月蝿いキーキー声。

思わず耳を塞いでしまった。


「ごめんね?桃乃、そういうつもりは無くて言っちゃったんだと思うの。ね?」


何がね?だ。ふざけるなよ。

立ち上がって、家へ帰っていく。


__


「ちょっと桃乃?このテストは何ですか?」

「あ…それは…」

「あ…じゃないの!!どうして?菜乃は聞き分けのいい子なのに!!」


そうやって人と比べると碌な大人にならないよ?

あ、もう碌な大人じゃなかったなぁ…


「それは…人それぞれでしょ…お母さん」

「っ〜〜〜〜!!!」


流石にイラついたのか、思い切り私の頬を叩いた。

加減というものを知らないらしい。


「…暴行罪になるでしょ」

「黙りなさい!!黙れ!」


殴られたり蹴られたり、それはもう痛みを感じないところまで。

もう飽き飽きだ。


「…こんな事されないのずるいよ。私は痛いのに。」


いい事を思いついた。

あいつを殺してやろう。


「菜乃、さっきはごめんね?」

「ううん、全然いいんだよ?」


感情がバレないように、計画がバレないように。

公園へ呼び出した。


「あのね、私菜乃と遊びたいんだぁ」

「…いいよ!!」


あの間は何だったのか、今は気にしない。

だって今から居なくなるんだもん…。


じゃあね?菜乃。




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