第28話 チャールダーシュは踊れないの巻・前編
※今回もフィクションです()
登場人物は、「ふるやのいえ」の3人です。
https://kakuyomu.jp/works/16817139557449844256/episodes/16818093082824306774
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チャールダーシュとは、ハンガリー音楽のひとつのジャンルです。 「酒場風」という意味ですが、作曲家ロージャヴェルジ・マールクの作った曲の名前から広まったと言われています。 独特の躍動的なリズムが特徴で、ハンガリーの民族音楽としても知られています。(ネットからの引用)
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お盆休みに入ってる人もいれば、いない人もいる。台風が来るのか、来ないのか? 全国的に巨大な地震で、どうにかなってしまうのか!? そんな頃のお話です。
『なぜ、そこにアレが……? 古谷は想定内だけど、目が疲れているのかな? いやいや……確かに桃山がいる!』
わたしには、前日に古谷から連絡があったのです。
「この間はありがとう! 実は急に、絶対に出かける用事が、でも、この状況で、最寄りに乗り入れている電車の路線(しょっちゅう止まると有名)が止まるかもしれないし、バイクも風が怖いので、モネのところなら、色々な路線が選べるし、地下鉄もあるから大丈夫だろうと思う。泊めてもらってもいい? 無理だったら、どこかの“カツカツ倶楽部”(ネカフェ)の個室の空きを探して、泊まる予定なんだけれど?」
至極、常識を持っている、先日、久々に会ったばかりの古谷から、そんな問い合わせ連絡を受けてました。
「いいよ、いいよ、わたし休みだしあそこ禁煙じゃない? 携帯灰皿持ってきなよ。ウチなら吸っていいよ?」
そんな返事をしていたわたしは、一晩中、小説を書き続けてから眠り込み、「お惣菜と、あとなにか少しだけ作ろうかな?」ゆっくり昼を過ぎてから目覚め、めずらしく積極的に、そんなことを考えていました。(ひとりだと面倒が先に立つ性格)
そんな訳で、風も気になるので、いささか遠い駅前の「品ぞろえはよいが、少しお高いものが色々と並んでいる、全国展開の大手スーパー」ではなく、照明や店構えは、いまひとつだし、品はいいけど、段ボールむき出しだったり……つまり「鮮度と安さで勝負」そして、営業時間が比較的短いので、素敵な「半額シール」を、お惣菜に貼る時間も早い。
よく見かけるバイトのお兄さんは、本業はビジュアル系バンドの人? そんな、駅前に比べれば、少しは近くにある、ラフで財布に優しい、スーパー「キョンシー」に、夕方ではありながら、少し早目に行ったのです。
が、「水や保存食」など、いわゆる災害対策品は当然、半額シールどころか、「お惣菜」にいたるまで、とっくに売り切れていて、「キョンシー、そんなに
すると、古谷は早い目に到着して、薔薇の花束を持って、エントランスの前にいました。なぜか桃山を連れて。
「桃太郎バーガー閉まってた! 張り紙が! せっかく来たのに、お盆休みなんて!」
「へ――」
『あの薔薇どうしたんだろう? また変なストーカーに、追い回されてなきゃいいケド……あと、予定ないのが確かにいる……好きピはどうしたの? 彼ピはどうしたの?』
わたしは電車に乗ったばかりに、また変なのが古谷を狙って……と、思いながら、適当に桃山と会話していました。
「……彼ピとやらの旅行やデートは?」
「そんな予定がまだあったら、こんなところ来てない! あんなヤツ ~~炎上間違いなし発言が炸裂中~~ で、すっぱり別れた!」
「そう、今回も秒殺なんだ……古谷みたいに台風の影響かと思った」
「た、台風ですよ? 台風のせいで別れた……」
なんだか急に取り繕い出した桃山の横で、古谷が口を挟む。
「これ(薔薇)お土産、通りすがりのお花屋さんで買ったから、そう上等じゃないけど……」
「あ、ありがと――嬉しい! すぐ花瓶に入れるね!」(ストーカーじゃなくてよかった!)
そして、「食べ物のうらみ?」を思い出して、取り繕うのを、秒で止めたらしき桃山が、小声で毒づいたのです。
「そんなの食べられないのに……タコ焼きにすればよかったのに……」
「あのときは、桃太郎バーガーを買うって……」
瞬速で「彼ピ」と、おさらばしたらしい桃山は、古谷に予定を白状? させて、「桃太郎バーガーを一緒に食べようよ、おいしいから! 一度は食べておかないと人生の損失!」そんなことを言い、わたしを訪ねる古谷が、お花屋さんで悩んでいる間に、バーガー目当てで、無事追いつくも、臨時休業の張り紙に、本当にがっかりして、シオシオと古谷のあとをついて歩いて来たので、この始末だったのです。多分、思い入れが、桃太郎バーガー>彼ピだったのでしょう。
「凡庸なあの男には、わたしの価値は分からないのさ……あ、わたしの蓋まだ生き延びてる!」
「わたしの蓋……?」
「あなたの蓋ではないですよ?」
「わたしの蓋ですわ!」
「…………」(なにこの茶番?by古谷。想像)
『わたしの蓋』と言うのは、モネが所有する、お米を炊くための「土鍋の蓋」であり、以前、桃山が来たときに、うかつに「土鍋で炊いたご飯」に興味津々で、ひょいと触り、「あっつあつの蓋のヘタ」に驚いて、思わず蓋を落として、ふたつに割ってしまい、蓋だけ弁償した。そんな「土鍋の蓋」なのです。
(わたしはご飯を、食べたり食べなかったりという、生活をしているので、幾度か痛い目にあったのち、炊飯器ではなく土鍋でお米を炊き、小分けにして冷凍しているのでした)
「凡庸なのは、桃山ではないか?」
「凡庸というには、少しばかり突飛ではあるけれど……」
わたしと古谷は、なんとなくそんな視線や会話を、コッソリ交わしていました。
まあ、そんなこんなで、せっかく古谷が来るのだから、今日は、炊き立てを用意しようと、「ご飯を沢山炊く日」にしており、好きなだけお代わりできる量の、炊き立てのご飯は用意できるので、急遽、おかずだけ沢山用意することにしました。
「山盛りに揚げた唐揚げ(本当は小分けにして冷凍の予定)」に、ネットで公開されている「爆速お漬物レシピ」「これだけでおいしくなる唐揚げにつけるソース」「簡単ポテサラ(桃山がボールに一杯作って、カレースプーンでよそって食べたいと希望)」そんなこんなを、とにかく予定外に、沢山作っていました。
買ったばかりの「レタス」その他材料も用意し、そう言えば小説の参考にしようと思って買ったはいいけれど……アレ飲んでない……。
『テレジア』や『慈愛の乙女』の参考にしようと思ったけれど、飲んでなかったアレもだそう!
アルコールに弱いので、飲みあぐねて冷蔵庫に保存していたワインを、いまこそ!
そう思いついたわたしは、食事時に、「エスターハージー・ベーレンアウスレーゼ・キュベ2018 極甘口 375ml」も、冷蔵庫から出すことに決めていました。https://kakuyomu.jp/users/momeaigase/news/16818093083366572948
『エスターハージー・テソロ』を買いたかったのですが、お財布の事情でこちらに……。
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