彼女はダンボールを食べる。やめる必要はない

邪悪シールⅡ改

私の隣の彼女

 私の彼女はダンボールを食べる。

 水分補給も不要。

 丸っこいお弁当箱にも。

 ネコのポシェットにも。

 最寄りのスーパーで購入した茶色の切れ端が詰まる。

「ワタシって不思議だね」

 困り顔で彼女はこの世で唯一の食物を囓る。


 ある日の私は孤独で、居眠りする彼女のお弁当を盗み食いした。

 無論、喉を通らず吐く。

 目に涙を溜めて口の端を曲げる。

「私は本当にこの娘を好きになってしまった」

 伝う涙を止める方法がない。

「アナタと同じ生き物に産まれたかった」

 いつしか目覚めた彼女がそう言うも、同意は出来なかった。

 私はただ、吐き戻すと分かっている茶色い破片を再び囓る。

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彼女はダンボールを食べる。やめる必要はない 邪悪シールⅡ改 @33jgyujgyugyabb

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