除オッサン剤

朽木桜斎

おいたんは除オッサン剤を発明するが

「今日もお掃除、楽しいな~」


 おいたんの営むクリーニング店で、ゆきりんはアルバイトにいそしんでいた。


 するとそこへ、そのおいたんが前方ムーンウォークでやってくる。


「ゆきりん、こいつぁ、夢のクスリだ」


 おいたんは一本のスプレー缶を取り出した。


「こいつぁあな、ゆきりん。オッサンを駆除できちまんだよ」


「するってぇとおいたん、あとかたもなく消しちまうパターンですかい?」


「イエスもイエスのウェハースさ。まるで最初からいねえみてえにな。名づけて除オッサン剤だ」


「ほうほう、ちょいと見せてたもれ」


「おおう」


 除オッサン剤を手に取るゆきりん。


「確認でござる」


「わあーっ! 古代中国における拷問器具設計士にしたように、わたしにするというのか~っ!」


「おお、ホンマや。溶ける溶ける」


「ジュウミンヤっ!」


「住民屋ってなんぞ?」


 こうしておいたんは影も形もなくなった。


「これは面白いお! さっそく量産して絶対数を下げるでござる!」


 このようにして、日本におけるシルバー民主主義は終焉を告げ、いっぽうでゆきりんは大富豪になった。


「イケメンの彼氏もゲットしたし、最高!」


 そして三十年後。


「ゆきりん、俺、46歳になっただ。プレゼントくれくれ」


「消えろ」


「リフレッ~シュ!」


「は~あ、世界の支配者なんて退屈だお。わいも消えるお」


 こうしてあとには、誰もいなくなりましたとさ。


(終わり)

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除オッサン剤 朽木桜斎 @Ohsai_Kuchiki

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