第2話  起床 ~その①~

「ほらー、起きなさい。起きないと、イタズラしちゃうわよ」


 と、千夜は子供達を起こす。


「美優、萌香。起きなさい」


「んー」


「スー、ス―」


 と、気持ちよさそうに二人揃って寝ている小学生くらいの子供を起こす。


「そう、まだ、寝るつもりなのね。だったら……」


 二人の横腹をくすぐり始める。


「ふっ……。ははははははっ!」


「ははははははっ!」


 と、二人はくすぐったくて、笑いながら、ようやく目を覚ます。


「どうやら、やって起きたみたいね。二人共、ご飯が出来ているから早く、顔を洗って、リビングに来なさい」


 と、言い残して、千夜は部屋を出た。


「みっちゃん、ほはよう……」


 と、大きな欠伸をしながら、鈴木家の五女・鈴木萌香(八歳)小学校三年生、が言った。


「ふわぁ……。おはよう、もえちゃん」


 と、鈴木家の六女・鈴木美優(八歳)小学校三年生、が挨拶を返した。


「あさ?」


「うん、あさ……」


 まだ、寝ぼけている二人は、ゆっくりと立ち上がって、その小さな足で、歩き始める。


「ねむい……」


「私も……」


 と、二人は目を擦りながら、洗面所へと向かった。




「栞、起きろ。じゃないと、俺が姉ちゃんに殺される……」


 と、ノックして、真はドアを開く。


 すると、ベットの上で毛布を蹴とばして、仰向けでよだれを垂らしながら、我が行くまま、気持ちよさそうに寝ている少女がいた。


 鈴木家の三女・鈴木栞(十四歳)中学三年生。


「おーい、栞。起きてくれ、頼むから……。毎回、起こす身にもなってくれよ……」


 栞の頬をペチペチと、軽く叩く。


「うへへ……。——ダメだって……そこは……」


 と、寝言を言いながら起きない。


「起きる気全然ないだろ……」


 真は、目覚まし時計を鳴らして、栞の耳元に置く。


 ジリリリリリリ。


「うるさい!」


 と、目覚まし時計を払いのける。


「起きたか? 起きただろ?」


 と、今度は栞の両頬を引っ張ったりしながら、起こそうとする。


「痛い、痛い、マコ兄、痛い!」


 ようやく目を覚ました栞は暴れる。


「起きたなら、早くしろ。朝ご飯だってよ」


 と、真は栞から手を放す。


「んー」


 と、栞は両手を挙げる。


「それは何だ?」


「分かるでしょ。起こして、起きられない」


「馬鹿言うな。起きたら、さっさと部屋出ろよ。学校、遅刻するぞ」


 と、ドアを閉めて、真は部屋を出た。


「マコ兄のケチ!」


 と、栞は舌を出して言った。

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鈴木家の3男7女 佐々木雄太 @yuta4

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