鈴木家の3男7女
佐々木雄太
第1話 朝ご飯
「おはよう……」
と、目を擦りながら起きてくる少女がいた。
「朱音、おはよう。もうご飯で来ているからさっさと食べて、学校に行っちゃいなさい」
と、エプロン姿の女性が言った。
椅子に座る少女。
鈴木家の次女・鈴木朱音(十六歳)高校二年生。
「お姉ちゃん、これ、何?」
と、朱音は朝食のメニューを見て、ガックリと来ていた。
「何って、目玉焼き、ウインナー、トマト、インスタント味噌汁、お米、梅干し、だけど、それが何?」
鈴木家の長女・鈴木千夜(二十一歳)大学四年生。
「それよ! 毎日平日は、同じメニューだし、下手すれば土日も影響するじゃん! たまには、おかずを変えてよ!」
「何言ってるの! うちは、これがスタンダードなの! 文句があるなら、他の家の子になりなさい!」
朝から姉妹喧嘩が始まる。
(朝っぱらからうるさい……。もう少し、静かにしてくれないのか?)
みそ汁を飲みながら、姉妹の喧嘩を見ていた人物がいた。
鈴木家の次男・鈴木真(十六歳)高校二年生。
朱音とは、双子の兄である。
「せめて、レパートリーを増やしてよ! 私、高校生だよ! 真も何か言ってよ!」
と、飛び火が飛んでくる。
「え? 俺? 俺は別に……。姉ちゃんも色々と大変なんだし、大学生と子育ての二刀流というか……」
「あああ! 真に訊いたのが間違いだった!」
と、頭を抱えながら、大声を出す。
「真は偉いわね。なにも文句言わずに食べてくれるんだから、本当、双子なのにこの違いは、何なのかしらね?」
「わるーございましたね!」
と、朱音は千夜に舌を出す。
「姉ちゃん、それよりも起こさなくてもいいの?」
「ん? そうね、あの子達も早く起こさないといけないし、真も食べ終わったら手伝ってくれる?」
「分かった」
千夜に言われて、誠は頷く。
「朱音、あなたもさっさと食べて、子供たちを起こすのを手伝いなさい!」
「はーい」
と、乗り気のしない返事をした。
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