第44話悪魔と爆撃機は使いよう

余計なことは言わない方がいいとよく言うが今回の敵である転生者からすれば結婚に重要な意味などない。

あくまで国の掌握に必要な条件でしかない。

つまり結婚を無効だと言ったところで怒ることもなければ動揺することもない。

だからライラ中尉がそこに焦点を絞ったのは妬み以外の何者でもないとしか思えないのである。

「君たちが俺を探している連中だな?意外に下級の悪魔達じゃ倒すのも足止めするのも無理だったか…。まぁこちらとしてはあいつらには死体を増産させることくらいの役割しか与えてないから別に問題ないな。」

悪魔に人間性でも売り払ったのかと思えるぐらい冷淡な人間だ。

「お前も地球からの転生者だろ!何でこんなことしてんだよ!!」

俺自身そんなこと言える立場ではないはずなのに意外にも大声で言ってしまった。

「俺が地球からの転生者だと分かっているならお前も地球からきたてことか…お前もわかるだろ?あっちじゃ生まれた時から親が金持ってたり政治家の家計な奴が生きていきやすい社会で持たない人間が努力したところで何もよくならない世界と違ってここでは力を持つ俺達が勝ち組になれる!最高だからやりたいようにやるんだろ!!」

理由なんて大体こんなもんだろうな。

結局こいつもこの星に来る際に力を貰って増長してしまったタイプの人間だった。

違いがあるとすれば俺とは少し違い社会や生まれによる格差に不満があり自身が上流階級になることが目的に近いと思う…まぁ国の乗っ取りを企む時点で地位に固執するのはなんとなく理解していたが…。

「お前の言い分に賛成できるところはあるが

民間人を巻き込んでまでやることじゃない。今からでも遅くない。悪魔達に戦闘を止めるように命令しろ!」

「すると思うのか?どちらにせよこの都市に残っている奴らの数もそれほど多くないもって後…五分くらいだろう。今更助けられないんだよ!正義の味方面した軍人が!!」

奴はそう言い終わると悪趣味な武器を振り上げそれに対して俺は刀を抜き真正面から受けた。



悪魔達の蹂躙から逃げる人々の大半は教会や兵舎へと向かい前者は悪魔に皆殺しにされるまで神に助けを祈り後者はギリギリのところで耐えていたが既に限界になっていた。

「ここが墜ちるのも時間の問題か…避難は不可能なうえ籠城できる戦力もない。」

「隊長…我々はどうすれば!?」

諦めるべきだろう。だが市民をおいて逃げることもできない。なら戦うしかない。

「奴らがじきに攻めてくる!皆すまんが勝ち目がない戦いだが俺達は誇り高いリリア王国軍兵士だ!総員戦闘準備!!」

兵士達は覚悟を決め嫌々ながらも門の手前に武器を構えて敵を待ち構えようとしていた。

だが、直後兵士達は奇妙な音を聞く。

後に兵士達はその音を重低音の機械音の後雷が落ちたようだったと伝えていた。



偵察機から得られた情報には5ヶ所ある兵舎の内3つが持ちこたえていることが判明していた。

今回の作戦における連合軍の指揮官であるジャスタが先行させていた爆撃機に3箇所への近接航空支援を命令する。

「30ミリ機関砲で充分効果はある。爆弾は落とさせるなよ。」

「了解」

「ヘリボーンの連中と攻撃ヘリはどの位置だ?」

「爆撃機の攻撃から2分後に到着ですがボスが別の目標へと向かったようです。」

都市からさほど離れていない場所へと向かっているようだが今都市で起こっていることよりよほど重要とみた。

「作戦に変更はない。」

ジャスタがそう言いきると同時に3箇所への攻撃が行われ悪魔達がミンチにされる瞬間がモニターへと映し出されていた。



ヘリボーンの部隊が爆撃機による攻撃を確認すると歓喜していたがすぐにその歓声も消え全員に無線で指示が出される。

「これより我々は生存している市民の安全の確保と悪魔共の掃討作戦を行うだが以前として首謀者はまだ捕縛も殺害もなされていない。長期戦にはならないはずだが甘い考えはもつなよ。じゃないとここで一夜明かすことになったらボスがいた世界みたいになんとかホークダウンて映画が作られた時泣きべそかいてる役にはなりたくないだろ?」

部隊長と思われる人物による激励だが兵士達自身元々そんな甘い考えは持っていなかったが真面目な空気には必ず茶々を入れる人間が一人はいる物である。

「できれば美味いもの食って美女に囲まれる役がやりたいであります!」

兵士達の中には吹き出してしまう物もいたが部隊長の「お前にはレーションと彼女のお説教がお似合いだ。」

という返しで終わり降下地点でのホバリング時には攻撃ヘリによる容赦な攻撃が行われていたのだった。


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