第43話首都動乱3

玉座の間に入ると法王が逃げもせずに近衛の騎士達と共に残っていた。

だが、法王のそばにいる女王と王女は俺達を見て恐れているようだった。

「ご機嫌いかがですか?法王陛下?」

「貴公がこの騒動の元凶だな…。聖なるこの国を悪辣なる者達によってこの国は穢された!」 

怒っているな…。俺が彼の立場ならそりゃ怒るが今更怒っても状況は好転することなんてないんだ。

「悪いんですがね法王陛下?俺に王位と国をくれない?」

「ふざけるな貴様のような男に国をやる訳にはいくか!!」

「王族でなければいけないならそこの王女を花嫁としてもらってやるよ。あんた達を殺した後でな。」

俺がそう言うと近衛兵と騎士が王を守ろうとする。

悪魔達に指示をだし近衛兵と騎士はバラバラの肉塊となり王女がその光景に悲鳴をあげた。



外骨格による身体強化は貰ったチート共に常人を凌駕することはできるが分隊による行動をする以上今は宝の持ち腐れと言える状態だ。

「ゴースト焦りは禁物よ。最悪、法王一族が死んでも別の人間が王政を引き続きしなんなら連合の統治下にする案もあるわよ。」

「冗談でも笑えないですよ!それよりプロテウス的にはボスがそう望んでいると思っているんですか?」

「思ってないわよ。でも、今回も異世界人による虐殺が行われてるのを同じ異世界人であるあんたが責任を感じてるんじゃないか心配してんのよ。」

責任よりも恥ずかしさの方が強い。

自分が言えることじゃないことは分かっている。でも、この世界にいる人々にチートを持った連中が好き勝手する道理はないのにも関わらず力を持った瞬間地球でできないことやりたかったことをやろうとしてしまう地球人の自分勝手さに怒りすら持つ。

「俺達は止めなきゃならない。仮初めの平和を知ってる俺達だからこそ。」 

呟く俺を余所に移動中目につく悪魔達に小型の誘導ミサイルをぶちかましたり機関銃で撃墜する音で誰にも聞かれていないのはある意味救いだったかもしれない。



玉座の間で法王は動かなくなっていた。

詳しく言うならば悪魔達に殺さないように痛めつけるように言ったが数発でこのざまである…面倒くさいな。

「王様…たった一言言うだけで良いんですよ?国を君にあげるもしくは俺に王女を嫁にくれて俺を王族に迎え入れる。それだけであんたは助かるしこれ以上国民が死ぬこともないんだ…良いことだらけだろ?」

俺の問いかけに僅かに動こうとするが力が入らないのか起き上がることすらできていない。

「悪魔共座らせてやれ。」

俺の指示を聞いて法王を床に座らせる。

息をするのも苦しそうだが俺になにか言いたいようなので近づく。

「じ、地獄に……堕ちる。貴様は、必ず……神の裁きがくぅ!」

「お父様!」

気にくわないので殴ったら王女が心配している。

「天罰?俺にこの力をくれたのはその神様だ!つまり俺がやることは神様だって認めている素晴らしいことだ!それをあったこともない人間が偉そうに断言してんじゃねぇ!」

ズタボロのジジイをもう一発殴る。

「やめて!!もうやめてぇ!!」

王女が叫び制止しようとする。女王は騎士達が無残に殺された時点で憔悴しておりずでに気絶してしまっており王女と違って耐性がないようだ。

「君が私の物になればやめてやるよ。」

自分で言ったのだからなんとも言えないが小物臭いセリフになってしまった。

「ダメじゃマリア!お前がこいつと結婚すれば聖王国はこいつの物になる…それにお前が望まぬ結婚などするでない!!」

中世くらいの時代にも関わらず娘思いの父親だな?

まあ、普通に考えれば自分の命を優先して娘を嫁にやってやればいいのにな……。

「親の鏡になっても得することなんてないんだぜ?」

武器を振り上げ法王に向けて振り下ろそうとする。

「待って!!」

王女が止めに入る。

「私が貴方の物になればこの惨劇は止まりますか?」

「少なくともこれ以上ひどいことにはならないだろう。」

「……分かりました。貴方の申し出受け入れます。」

国の乗っ取りは計画通りとはいかずとも成功したかな?後は邪魔者達を排除して信者共に新しい指導者になったことを発表したり忙しくなるな。

王女の手を取ろうとする瞬間に壁をぶち破って数人が現れる。

「結婚は無効よ!ちなみにあんたは脅迫とテロの首謀者として牢屋行き確定のね!!」

女が偉そうに言うととなりの男が

「いきおくれだから妬んでるですか?」

と言ってしまいぶん殴られていた。







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