第99話
俺は冒険者ギルドに到着する。
既にティナとロッテは到着していた。アリアはまだ来ていない。
だが、ここで見た光景にデジャブを覚える。
「ロッテ姉、こうやって──こうやる」
「ギャアァァァッ」
男の叫び声が木霊する。
ティナは冒険者に金的蹴りを行っていたのだ。しかもロッテに教えながら……。
「ふむふむ、まずは足払いをしてから一撃ですか。私には難しそうですね。私の場合は眠り薬でこうして──こうッ! ですね」
「──フンギャァァァァァッ」
「ロッテ姉、中々やる」
中々やる、じゃねぇよッ!
なんなのこれ!?
うちの子達は金的蹴りブームなの?!
しかも、ロッテのやり方とか怖すぎるんですけど?! 眠らせたら終わりで良くね?!
ギルド内が股間を押さえた男で地獄絵図なんだが?!
受付のお姉さんもドン引きだよ!?
ギルドの奥から1人の白髪の女性が威圧を放ちながら現れる──
「この騒ぎはなにかのぅ?」
ギルドマスターの【白髪鬼】シシリーさんだ。
ちなみに見た目なのだが、白髪の老女だ。
以前にこの街で何度か見た事がある。
見た目老女だが強さは間違いなくSランクオーバーだろう。
そうでなければダンジョン都市でギルドマスターなんか出来ない。
現に今もシシリーさんの登場で全員が震えているし、沈黙している。
ティナは普通だが、ロッテは腰を抜かしている。
俺も『慈愛の誓い』を相手にしているような錯覚に襲われるぐらいだ。
老い先短い皺くちゃの婆さんとは思えない……。
「こいつらがセクハラして来た」
沈黙を破ったのはティナだった。
まぁ、そうだろうと思った。だが、セクハラされたのはロッテだろう事は容易に想像出来る。
「ふむふむ……最近は素行の悪い冒険者が多いと住民から苦情が寄せられていたからの。これからも容赦なく潰すが良い。このわしが許す」
……ギルドマスター公認になっただと?!
他の男達も動揺する。
「わかった。これからは潰しまくる」
「うむ。職員はそいつらのギルド証を取り上げて詰所に引き渡して来い──逃すわけなかろう?」
「「「ぎゃッ」」」
シシリーさんは逃げ出そうとした男達を一纏めにする。
何が起こったのかさっぱりわからん……何かの加護か?
ピコンッ
『加護ではないな。『魔力具現化操作』で捕まえるとは中々の使い手だな』
あれってこんな風にも使えるのな……。
その後はギルドの職員が詰所に連れて行き、シシリーさんは奥に戻って行った。
その時に男の冒険者達も去って行った。
ティナ達にあそこを潰しても良いと許可していたからなぁ。
しかし、冒険者の苦情が多いのか……前に来た時は確かに冒険者は多かったが、そこまで治安は悪くなかったぞ?
『お前の出番だな。裏の秩序を守る【
……いちいちそれ言うのやめてくれませんかね!?
絶対遊んでるだろ!?
『当たり前だろ』
当たり前じゃねぇよッ!
とりあえずティナ達と合流するか……。
「ティナ、ロッテ」
「エル兄ッ!」
「エル君ッ!」
俺が声をかけると、2人は花が咲いたような笑顔を向けてくる。
とても、さっきまで潰しまくっていたとは思えないぐらい爽やかな笑顔だ。受付嬢も驚いている。
これは余談だが、ここの受付嬢達も美人な上に巨乳だった。
俺達3人は併設されている酒場に座って飲み物を飲みながらマイとアリアを待つ事にした。
しばらくして──
ピコンッ
『明日から【
とミカから言われたので【
すると、目の前に文字が表示される。
①スキル『精力増強(極)』
②魔眼『透視眼』
③スキル『身体硬化』
④魔道具『不滅の貞操帯』
⑤ 本(著者:田中太郎)
これを見た俺は神様はエロ系しかくれないのかと疑問視した。
まず、①だ。これは速攻で俺のメンタルを殺しに来ている。これ以上、精力増強したら制御なんか不可能だ。しかも極だし……。
『【極】スキルは相当レアなんだぞ? ハズレでは無いな。もっと前向きに考えたらどうだ? 今回のチョイスはかなり良い方だぞ? お前の心が汚れてるだけだろ』
……お前にだけは言われたくねぇ。
まぁ、確かに俺が知らない能力もあるかもしれないからな。前向きに考えよう。
次は②だ。魔眼はとても珍しく貴重だ。俺も何人か魔眼持ちを知っているが、どれも強力な力だった。
これは期待していいのかもしれない。
『これは見えない物を見る力だな。千里眼や解析眼もセットで使える優れ物だ』
ほほぅ、かなり強力なんだな。
次は③の『身体硬化』だな。
これは体の強度を上げられるのだろう。戦闘に使えるスキルだな。これが俺の中では当たりだな。
『使いこなせば生身で剣戟も受けれるぞ』
ふむふむ、やはり1番欲しいな。
『あそこを強化すれば最強の突きが実現出来るだろう。金的蹴りにも対応可能だな』
考えないようにしてたのにお前が言うなよッ!
金的蹴りと言えば④の貞操帯だろ……。不滅って事はこれが1番防御力が高いはずだ。
『寝てる間にあそこが勃ったら激痛だ。更に液体で蒸れたら最悪だな』
最悪じゃん……というか、お前が俺の前向きな考えを殺しに来てるよな?
というか⑤の本が1番いらなくないか?
田中さんが書いたって事はエロ本か?
『いや、これは異世界の叡智が記載された本だな。例えば──魔術の応用の仕方が書いてある』
田中さんってエロ本以外にも書いてたのか!?
異世界の叡智か……凄く気になるな……。
さて、どれが当たるだろう?
とりあえずルーレットを回すぜッ!
超エッチな下着の時の様に貞操帯がいきなり目の前に現れたら困るのでいつでも『無限収納』にしまえるようにしておかねば……。
そして、ルーレットは②を指して止まる──
魔眼『透視眼』か……。
強力な魔眼だと信じたい。
『とりあえず、目に魔力を込めて受付嬢を見てみろ』
そう、だな。試さない事にはわからないからな。
俺は目に魔力を込めて受付嬢を見る──
「ぶふぉッ──」
俺は飲み物を吹き出す。
「エル兄?! まさか毒?!」
「直ぐに解毒薬を出しますねッ!」
「だ、大丈夫だ。変な所に飲み物が入っただけだなら……」
目に映る受付嬢は裸だった。しかも、あの胸は本物ではなく──
パットだったのだ。
確かに見えない物が見れたな……。
しばらくして、マイも合流したが──
アリアだけが到着しなかった。
何かあったのか?
アリアは基本的に遅刻はしないタイプだ。何かトラブルがあったのかもしれない。
俺は『マップ』を起動させると、スラム街に反応があった。
まぁ、無事そうではあるが──状況がわからんな……。
ミカ、何かわかるか?
『戦闘中だな。分かりやすく表示させてやる』
ミカの言葉と同時にアリアの周りは敵反応の赤い点滅ばかりになった。敵の数は軽く30は超えている。
スラム街とは言え、この街にも【絆】の支部はあったはずだ。
ここまで大規模な戦闘は異常事態だろう。
迎えに行くか……。
しかし、ティナはともかく、マイとロッテは一般人と変わらない。裏の事に巻き込むのは躊躇う。
「俺が迎えに行ってくるから、3人はギルドで待っておいてくれ。絡まれたらいつも通りで構わない」
「「「了解」」」
俺はスラム街へと駆け出す──
────────────
お待たせ致しました。昨日更新予定だったのですが、中身が消え去ってしまって書き直してました_:(´ཀ`」 ∠):
更新をお待ち頂いてる方々には大変ご迷惑をおかけします。
そして相変わらず、最新話に空き時間を費やしているので感想返しや文面の修正など行えておりません……すいません(´;ω;`)
ここまでお読み頂きありがとうございます(´;ω;`)
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祝福された冒険者は平凡を望む〜毎日が"エロくてハード" なSランクパーティを力不足なので抜けたら元パーティメンバーや元いた裏組織が放っておいてくれない件。責任取れ?体が持たないので勘弁して下さい〜 トロ @tonarinotororo
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