第23話
「ふぁぁ、あーちゃん可愛すぎるぅ」
深夜4時、新しい千里のルーティンは始まる。
寝ぼけた千里は4:00にセットされたスマホを手探りでとり、片手で取る。そしてそのスマホに写っている待受写真、言うまでもないが蒼の制服姿の写真を見て興奮することから始まるのだ。これがその日、一日の生きる糧になるらしい。
そこから眠たい体を起こし、歯磨きや身支度を行う。
そしてなぜ4:00という早朝に起きた理由が隠されている、蒼がいつも菓子パンとジュースで学校での昼食をしていることに見かねた千里はこのような時間に起きて蒼のためにお弁当を作るのだ。
というのは建前で本当は、、、
「別にあーちゃんが健康的な昼食をとっていても私が作るんだけどね
私があーちゃんを健康にしないとダメ」、だそうだ。
ちゃんと汁物も飲めるように、お弁当用のタンブラーも購入してる。
実際にポタージュやお味噌汁などたくさんのバリエーションを用して出てきてる。
「今日もあーちゃんに美味しいって言ってもらえるように頑張らないと」
美味しいと言ってもらえることを妄想して興奮するのだが、お弁当は作らずに今度はベランダに行く。
「よいしょっと、今日もいい天気だなぁ。絶好のあーちゃんとイチャイチャ日和だね。よしっ、あーちゃん待っててね今から行くからっ。」
すると、千里はベランダの壁に登った。マンションなのになぜこんなことができるのか。それは一階に住んでるからだ。
千里はそのまま横のベランダに飛び移った。
蒼が不用心なのは元々で、そして熱くて窓を開けているのは知っている。
ので、侵入した。(?)
「はわぁぁぁ、相変わらずあーちゃんの家はいい匂いだなぁ。どうすればこんなにいい匂いになるんだろぉ蕩けちゃう」
小声でそう呟くと、目の前で規則正しい寝息を立てている蒼の側に座った。
それからたまに寝言を言ったり気持ちよさそうな寝顔をさらす蒼にだらしない顔と口の端から漏れそうなよだれをおさえながら寝顔を拝めているとあっという間に30分が過ぎたのでそこからまたベランダから自分の部屋に戻る。
「はぁ、あーちゃん合鍵渡してくれればいいのになぁ。私のならいつでもあげるのに。けどお互い交換し合いっことかしたいし。。。」
「はぁ......あぁ.....もっとあーちゃん正直になってほしいなーー」
ほんとは私にあーんなこーんなことしたいと思ってるくせに私ならあーちゃん全肯定するし、あーちゃんの全部受け入れてあげる覚悟がある。
だって結婚を約束した仲だからね。
そんなことを妄想しながら、キッチンに入って次々と要領よく食材を出していき調理してゆく。こうしてお弁当の余りなどを活用して、朝ごはんを作る。
もちろん、蒼の朝ごはんだ。それと併用して手際よくお弁当が仕上がって行く。
千里は、朝ごはんの惣菜パンまで蒼が食べることを許さない。蒼の全部を健康管理するからだ。
20分ほど調理に熱になったあると、蒼の起きる時間になった。侵入した時にしっかりスマホのアラームを除いて蒼の起きる時間をチェックしている。
あーちゃんはそんなことにも気づかず「なんで俺の起きる時間分かんの?」と不思議そうな顔で言ってくるから可愛すぎて思わず、抱き潰してしまいたくなるけど、いつも頑張って我慢している。
「おばかなあーちゃんもさいっこうに可愛いヨォ〜」
千里は1人妄想して、興奮して自給自足しているのだ。発散したいが、それも我慢してすぐに蒼の部屋に行こうとする。
「よいしょっと。。」
千里はまたベランダから部屋移動をしようと飛び移るが、片手には朝ごはんが乗ったお盆がある。滑りにくいらしいので大丈夫らしい。
蒼が合鍵をくれるまで、これをずっとするらし千里は今日も朝ごはんを届けるのだ。
食卓に朝ごはんを置いて千里は蒼の部屋に向かう。
「あーちゃっ、起きて?あなたの可愛い幼馴染が来たよ〜」
「眠たいぃ………zzzzz」
「もぅっ、起きないと顔舐めるよ?あと5秒で起きないと顔舐めちゃうよ〜〜いーーち、にーー、さーーん、s」
「あぁ!起きるよ起きるから近づくな!」
美味しそうなあーちゃんの顔を舐め舐めしようとどんどん近づけていったんだけど、カウントギリギリで顔を掴まれた。あーちゃんに顔触ってもらえて、天国に行きそう。
それでも抗ってあーちゃんのほっぺを舐めようとすると、私のほっぺを掴まれてぎゅっとされた。
「はーしゃん、ほっぺしゅかまないでゅ」
「大人しくしてろ、てか人の部屋を許しも無しで勝手に入るな?」
「へほ、あーしゃんゆふしゃないひゃん」
「おめーなんかに許すわけないだろ?」
あーちゃんが気になりすぎて、部屋に入るなと言われても入ってしまうのが私の性だ。まぁ、あーちゃんが誘惑するのがいけないよね。私にとってあーちゃんの部屋なんて最高の蜜なのに、飛びつかないわけがないよね。
「えへへ、あーしゃんしゅきぃ〜」
「はぁ........」
今日も波乱万丈な朝だった。
隣の部屋に間違えて入ってしまったら昔の幼馴染がそこにいた 鯵の閉まり @ajikou
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