第5話 ”Y”side プロローグ
「なんなの、これ……」
目の前に浮き上がっている謎のゲーム画面。周りを見渡すと沢山の人達が同じような画面を目の前に、困惑した表情を浮かべていた。優真も同様に焦り、手先の震えを隠せずにいる。
先程までベットの上でスマホを弄っていた筈だった。幼なじみの颯太がこの世を去り、部屋に閉じこもっていた優真に対して親友の葵が電話を掛けてくれた。その際に気分を変える為にと、スマホアプリを紹介してくれたのだ。最初は気分が乗らなかったのだが、剣道部でもお世話になっている葵の圧力に負け、ダウンロードをした。
そして葵と電話越しに遊んでいて、日を跨いだ瞬間、
『君たちを最高の世界に招待しよう!』
という文字が画面に浮かび上がり、スマホから溢れる眩しい光が優真を包み込んだ。
そして現在、気がついたら知らない場所に立っていたのだ。真夜中のはずだったのに、空からは太陽が強い日差しを浴びせてきている。
『プルン♪』
目の前のウィンドウから通知音のようなものが鳴り、周りに見える西洋風の建物からウィンドウへと目を移した。そこには大きなビックリマークと共に、
『このビックリマークを触ってね!説明書が見れるよ』
と、いう文章が書かれていた。
優真は疑問に思いながらも、恐る恐ると目の前のウィンドウに触れてみる。確かに何かに触れた感触があり、それに反応するように画面が切り替わった。
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これを見ている参加者達へ。
君たちは今、驚きや恐怖、不安や絶望など様々な感情に苛まれていると思う。目を開ければ知らない場所に居て、現実的にありえない現象が起きている。このゲーム画面もそのひとつかな?
端的に言うならば、ここは『異世界』ってやつだよ!そのゲーム画面も異世界特有のモノさ。
君たちってゲームやアニメ、小説など非現実的なものが好きなんだろ。現実的には起こらないことを想像して、現実的じゃない力に憧れて、現実的じゃない現象を夢にみる。
だから僕は君たちが楽しめるように、ゲームに似たこの世界に召喚してあげたのさ!ほら、うれしいでしょ?
この世界だって、君たちがやっていたゲームに似た世界に作り変えたし、似たような力を使えるように調整した。
ならば君たちは、ただこの世界を楽しむだけさ!
成長し、力を蓄え、この世界に君臨するダンジョンを攻略したまえ!
とは言えど、この中には元の世界に帰りたい人間もいるかもしれない。もし、元の世界に帰りたければこのダンジョンのラスボスを倒したまえ。そうすれば帰してあげるし、望みもひとつ聞いてあげよう。
地位も名誉も金も権力も、望むのならば、亡くなった者の蘇生やここで得た力を元の世界に持ち帰るのも面白そうだね。
僕はなんだって叶えられる、だって神様だから!
それじゃあ頑張ってね!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と、画面には説明されていた。
その説明書を読んで更に困惑する者、やっと俺の時代が来たと騒いでいる者、不安のあまりに泣き出してしまう者。様々な反応が四方八方から飛び交う中、優真は膝を崩してその場に座り込んだ。
その涙ぐんだ目には絶望の色が良く似合っていた。
超絶可愛い幼馴染が俺の鬼畜ダンジョンを攻略しているんだが~目的はラスボスの俺を殺すことらしいです~ きっちん @kittin_LV
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