第9話   やっぱり私は…


寂しくなった時は空を見上げるんだよね


小さな頃から父とふたり暮らしの私は、家に帰ったところで待っている人はいない。


母は私がまだ物心がつく前に、病気になり天国へ行ってしまった。


だからお母さんのことはあんまり覚えてないけど、空から私のことをいつも見守ってくれているんだよって、お父さんに聞かされていたんだ。


ふと、空を見上げると、小さな雲がぽつんとひとつ、寂しそうにふあふあと浮かんでいる。


お母さんも寂しい?


小さく右手を上げて、私はお母さんに手を振っていた。


私も、いつもお母さんを見ているから心配しないで


新山さんの言ったことはもう忘れる。


大和くんの優しさは、私の胸の中に…


ずっとしまってなんておけないから


…やっぱり私


ひかりくんがいい!


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やっぱりひかりくんがいい 美恋 @manatuharuhi

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