第2話 うちのネコの不思議

 うちのネコは、私に懐いていない。

 動物に好かれることが多いのでショックである。


 自室のみで飼っているのだが、私がノートパソコンの電源を入れて作業途中で席を外して戻ってくると、ネコがそれまで私が居た席に座っていることがある。近づくとパッと逃げる。

 ちょっとは歩み寄ってくれているのだろうかとほっこりした気持ちになり、PCの画面を見ると、第1話のような意味不明の文字の羅列が入っていることがある。

 それが一度や二度ではない。割と頻繁にあるので席を立つときはノートパソコンを閉じてから行くことにした。


 すると今度は閉じたPCの上に香箱座りしていた。

「コラ!」と言うと飛び退く。

 あの文字の羅列はお腹で押したのだろうか?

 ただ、ちらっと見ただけだが私の座布団に座ってパソコンを覗いてキーを押している時も確かにあった。

 それと今回のことをつなげると、キーボードに乗るために勢いをつけて前足を置くと不規則な文字が押される(前述の時はここで発見した)。それでPCの上に飛び乗って香箱座りして同じ文字が押され続けたと考えるのが無難である。


 そしてある日、トイレに行って戻って来た。パソコンを閉じずに行ってしまったら、ネコがPC前にいた。そっと近づくと逃げてしまったが、画面を見るとおかしなことになっていた。

「音声入力を有効にしますか?」というウィンドウが出ていた。

「いいえ」にして閉じたけれど、うちのネコはキーボードで入力するのを諦めて、音声で入力しようとしたのかもしれない。

 そんなことを考えてしまった。



 彼女の野望は何だろう。

 そしてそれは、いつか実るのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

耳なし芳一を書こうとしていたら 玄栖佳純 @casumi_cross

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ