割れた夏 🏊‍♀️

割れた夏 🏊‍♀️

　ツマンナイなあ～……紅子は思った。

　意外なほどのガッカリ感を持て余す。

　　　　　　🐊

　いろいろあった今月は相当な力作ぞろいで、特選一句・並選五句の選考に悩みそうだなと思っていたが、いざ蓋を開けてみたら、至って平凡な自然詠や家族詠ばかり。

　天地が引っくりかえる騒動が連発したのに、そのことに触れずにいられるんだ～。

　元ジャーナリストが過半のオンライン句会の事務局として唖然呆然とするばかり。

　大人がそんなことだから、この国はどんどんオカシナ方向へ行ってしまうんだよ。

　まして、あんたら、一応オピニオンリーダーを気取って来たんだろ？　ったく！

　　　　　　🦃

　投句から三日後に選句＆選評というのが三年目に入ったオンライン句会のルール。

　やだな、見たくない、これ以上傷つきたくないな、でも、容赦なくその日が来て。

　約束の時間、恐るおそるサイトを覗いてみると、茄子だの胡瓜だの青簾だの平凡な風物を詠んだ自然詠に、ゴロッと異色な時事詠が、小石のように混じっている。💦

　――夏割れて戦後の闇の噴出す

　歓迎されないことを承知で、それでも詠まずにいられなかった紅子の入魂の一句。

　なんと特選に採ってくださった方がいて「2022年夏を適格に」最高の選評まで。

　ほかのメンバーにはスルーされたが、たったひとりの共鳴がしみじみとうれしく、もうやめちゃおうかな、ボランティア事務局……そんな気持ちも雲散していました。