高校生がダラダラ喋るお話
ちひろ
男子高校生がダラダラ喋るお話
「なぁ」
「ん?」
「明日から夏休みだな」
「まぁな」
「予定は?」
「別にないぞ」
「だよなぁ」
「3年だしな」
「課外ばっかりか」
「大事な時期だしな」
「勉強じゃなくてもっと有意義に過ごしたいんだよな」
「例えば?」
「…彼女作るとか」
「去年の冬も言ってなかった?」
「…忘れた」
「見込みは?」
「無い」
「んじゃ無理じゃね?」
「空から女の子が降ってくるとか」
「こないだやってたな」
「突然転校生がくるとか」
「明日から夏休みなのに?」
「隣に引っ越してきたのが幼馴染とか」
「お前んち、右も左も田んぼだよな?」
「宇宙人とか未来人とか超能力者とか」
「よく知ってるな、俺らが3才とかの時だろ?」
「美人のマネージャーが」
「俺もお前も帰宅部だけどな」
「曲がり角から食パン咥えた女の子と」
「だから明日から夏休みだって」
「でも部活とかはあるだろ」
「うちの学校自転車登校率が100%、そんなのとぶつかったら最悪死ぬぞ」
「田舎の弊害か」
「お前んちは田舎だけどこの辺はそこまでないだろ」
「これが格差社会か」
「何でもかんでも社会のせいにするな」
「美人の保険医さんとか」
「うちの学校の保険医ってお前の母ちゃんの友達じゃなかったか?」
「突然義理の妹が」
「両親を別れさすな、だいたい毎日手を繋いで買い物してるじゃねえか」
「え?そうなの?」
「あれ?知らなかった?有名だぞ?」
「…知りたくなかったわ」
「なんか…ごめん」
「お前は?」
「何が?」
「彼女だよ」
「まだ続けるのかよ」
「居ないのかよ」
「居たら一緒に帰ってるよ」
「じゃあ最終手段しかないか」
「なにそれ?」
「ナンパだな」
「頑張れよ」
「いや、付き合えよ」
「やだよ、恥ずかしい」
「当たって砕けろだろ?」
「砕けちゃダメだろ」
「なー、付き合えって」
「だから嫌だって」
「何でだよ」
「自分でも分かってんだろ」
「…まぁな」
「だいたい無謀すぎる」
「でも、もしかしたら」
「どこでする気だ?」
「駅前とかで」
「片道チャリ漕いで1時間」
「行けないことはないよな」
「着く頃には汗だくだけどな」
「親に車出してもらえれば」
「何て言って?」
「買い物とか」
「帰りは?」
「迎えにきてもらう」
「親の送迎つきのナンパなんて聞いたことねぇよ」
「原付を」
「今から免許取るのか?」
「1日だろ?」
「金は?」
「バイトして」
「給料は1ヶ月後だな」
「ギリ8月だろ?」
「まぁバイトも原チャも禁止だけどな」
「…いっそ作るか」
「何を?」
「彼女」
「話が戻ったな」
「いや、聞いてくれよ」
「聞きたくないけど、どうやって?」
「脳内で」
「やめて?」
「理想の彼女を」
「いや、マジやめて?」
「現実に出来たときの予行練習にもなるし」
「119番、119番」
「一石二鳥じゃね?」
「すいません、救急です」
「脳内ならいつでも会えるし」
「場所は○△高校です」
「好きなことも出来るじゃん?」
「今は横になってます」
「花火を見ながら初めてのキスしたり」
「脈はあります」
「今日は帰りたくないとか言われたり」
「ちょっと動けないそうです」
「お前より先に大人になっちゃうなー」
「階段を踏み外したみたいで」
「手作りのお弁当とか」
「バナナの皮が落ちてるので、これで滑ったのかも」
「そして彼女が出来たときにそれを実行する」
「近くに頼りになりそうな人はいないです」
「完璧じゃね?」
「壁側に寄せて邪魔にならないように?」
「聞けよ!」
「聞かねぇよ!」
「つまんねぇやつだ」
「お前に敵うやつはいねぇよ」
「んで?どう思う?」
「寒気がする。病院行こう」
「おいおい、大丈夫か?」
「いや、大丈夫じゃねぇな」
「ついていってやろうか?」
「むしろお前がいなきゃな」
「任せろよ!」
「お前が診察受けるんだからな」
「なんで?」
「病気みたいだから」
「俺が?何の?」
「頭」
「別に痛くねぇぞ?」
「頭が悪そうだからな」
「は?」
「こりゃ重症だ」
「俺のどこが悪いってんだよ?」
「自覚症状無しか」
「そりゃ、頭は悪いけどさ」
「お?気付いてたのか?」
「どこの病院通えばいいんだよ?」
「通う気なのか」
「悪いんだろ?」
「あぁ、手の付けようがないな」
「…そんなに悪いのかよ」
「急げば間に合うかもな」
「どうすりゃいいんだ?」
「そりゃ勉強だろ」
「勉強すりゃ治るのか?」
「まぁ分からんけど治るんじゃないか?」
「頼むよ!助けてくれよ!」
「助ける?夏休みの課題か?」
「今そんなことしてる場合じゃねぇだろ?」
「いや、先にやっといた方がいいんじゃねぇかな」
「先に?死ぬ前にって事か?」
「え?何言ってんだ?」
「だって俺は死ぬんだろ?」
「そりゃいつかはな」
「治すために勉強するんだよな?」
「まぁ必要だからな」
「ってことは医者になれって事だよな?」
「まぁ死ぬほどやれば医者にもなれるかもな」
「じゃあ俺やるわ!」
「あぁ、目標は高い方がいいと思うぞ?」
「今夜から死ぬほどやってやる。彼女も作れずに死んでたまるか!」
「あぁ、頑張れよ?」
そうして俺は死ぬほど勉強して2浪したが医者になった。
ちなみにあいつは元々の目標だった教師をしている。
彼女?
それは医者になった俺の次の目標だ。
高校生がダラダラ喋るお話 ちひろ @snow_drop_314
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