退職にあたって
以前わたしが勤めていた職場で、わたしのような下っ端がなぜ?と思うような役職の女性と仲良くなったことがあります。
その女性はメディアにも出るような仕事をされていて、もはや雲の上の存在です。
でも、わたしの体調や精神面、業務内容などとにかく気にかけてくれて、ほんとうに良くしてもらったのです。
わたしが少しおしゃれしていると、いつもと違う雰囲気に気がついて褒めてくれたり。
ちょっとお話しましょうよ、とジャスミンティーを淹れてくれたり。
周りの人のいろいろなことによく気がつく方だから、仕事においても特別なキャリアを積まれたのだろうと思います。
これは本当にたまたまなのですが、その女性が定年退職する日にわたしも退職することになりました。
退職の日も近づき、大好きだけどもうなかなか会えないんだな、と寂しく思っていると、一通のメールが届きました。
事務的な内容とは別に、結びの部分にこうかかれてありました。
「4月からは友達になりましょうね」
ただの社交辞令かもしれません。
なんてったって、私から見れば雲の上の存在です。
でも、嬉しかったんです。
会社を辞めたらハイ終わり!なんて、関わりのない同僚なら構いませんが、好きなひとならやっぱり寂しいですから。
それに、おこがましいですが、普段の私たちのやりとりから、きっと本当にそう思ってくれているのだろうという確信があったのです。なんて言ってみたり。
とにかく、憧れのひとから嬉しすぎる言葉をいただいて退職したのでした。
今でもその女性とは交流がありますが、それはまた別の機会に。
むかしの話をしようか。 ちはる林檎店 @chiharuringoten
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