第10話
第十話
あれからしばらく勉強をしてもう互いに寝る時間となった。私が布団で咲夏ちゃんがベットで寝る予定だった。
「咲夏ちゃんはベットで寝て?私は布団で寝るから。」
「だめだよ。雨季ちゃんがベットだよ!」
そういう言い合いを何度もして結局……。ベットで一緒に寝ることになった。はぁ、隣にこんな可愛い人いたら緊張して眠れないよ。
咲夏ちゃんが寝たら移動しようかな。
そんなことを考えて仰向けとなって目を閉じる。無を意識する。私は寝る寝る。何度も心の中で繰り返す。
「もう寝るの?」
「うん。」
咲夏ちゃんが聞いてくるから私は自分の緊張が伝わらないようにただ平静を保って返事をした。
「そっか。」
その声が寂しい気がした。私と話をしたいのかな?
背中合わせで寝転がっているから咲夏ちゃんがどちらを向いてるかわからない。
「水族館の時、来てくれてありがとう。声かけてくれて心配してくれて嬉しかった。」
あの時のことを感謝してくれてる。嬉しい。だから私は振り向いて咲夏ちゃんに言う。
「そんなふうに言ってくれて私も嬉しい。ありがとう。」
目の前にとても可愛いお顔があったから思わず目を泳がせてしまったかもしれない。頑張って目を合わせる。うわぁ、いつでもビジュが良すぎる。
「……距離近いから恥ずかしいね。照れちゃう。」
顔を少し赤くした笑顔で咲夏ちゃんが言ってくる。可愛い。
「か、ホントだね。」
危ないもう少しで可愛いと言うところだった。
「か?」
きょとんした顔で首を傾げて聞き返される。
「蚊がいたんだよ……あっはは。」
嘘をついて乾いた笑いを溢して目線をあさって方向に映す。というか可愛いって本人に伝えてもよくない?変に隠す必要ないよね。よし、言おう。
「じゃなくて可愛いなと思いました。」
言った後、咲夏ちゃんの方を見る。
「ふふっ。ありがとう。」
ニコニコの笑顔で言われた。もう限界だ。
この距離の近さに耐えきれないよ。可愛すぎてもはや罪。寝返りをうって。
「もう遅いから寝よう。お、おやすみ。」
瞼を閉じる。高鳴る鼓動が止まらない。可愛すぎるんだ。寝れるか不安だけど、目を瞑れば何とかなるはず。
「おやすみなさい。雨季ちゃん。」
雪村と一緒に寝た時はこんなんじゃなかったのに。
これってもしかして……。
ムスメのリベンジ ちゃくら。 @ropee
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