第9話
第九話
「いい匂いする。美味しそう。」
お風呂から上がり、リビングに向かう。とてもいい匂いがする。咲夏ちゃんが料理をする後ろ姿を見れて珍しい光景にドキドキする。そんな私に気づかず鼻歌を歌ってるのが聞こえる。
「咲夏ちゃん、お風呂お先でした。」
私の声にびっくりして肩をビクッとさせ振り返る。
「もう上がったんだ、早いね。って髪の毛乾かしてない。髪の毛、痛んじゃうよ。」
髪の毛を乾かさず、来てしまったから咲夏ちゃんに注意されてしまった。久しぶりに人が作った料理が楽しみでいい匂いに連れられて来てしまったのだ。
「だっていい匂いがしたから気になって……。」
「髪の毛乾かしたらいただきますしよう?」
首を傾げてそう言われたので髪の毛をドライヤーで乾かす。咲夏ちゃんとは違って髪の毛はショートよりちょっと長め(ウルフ)だから乾くの早い。センターでしっかり分け目を作れるように乾かして……。あっ。メガネをかけるの忘れてたなぁ。メガネをかけてもう一度リビングに向かう。
ローテーブルに生姜焼き、味噌汁、キャベツにご飯が用意されていた。とても美味しいそう。思わず嬉しくて笑顔になってしまう。
「わぁ、すごい。美味しそう。」
「ふふ。そんな喜んでくれてわたし、ほんとに嬉しい。」
2人で正座していただきますと手を合わせて食べ始める。生姜焼きはちょうどいい味加減だし、味噌汁は白味噌でとても美味しい。
「咲夏ちゃん、美味しいよ。」
笑顔でグットサインをする。
「お口いっぱいだよ。ご飯ついてるし。もう。」
咲夏ちゃんに笑われる。だってとても美味しいんだもの。仕方ないじゃないか。ご飯を2杯ぐらい食べてお腹いっぱいとなった。おかげでお腹パンパンだ。
「食器は私が洗うから咲夏ちゃんはお風呂行っておいで。」
久々に食器を洗う。鼻歌を歌いながら。今日は咲夏ちゃんのご飯食べれてとても幸せだ。写真を撮らなかったことに後悔する。みんなに自慢したいけれどSNSやってない。明日学校で雪村に自慢しよう!食器洗いが終わり、私は一息つくためにベットに寝転がる。
「お風呂、ありがとう。」
お風呂上がりでパジャマ姿の紗夏ちゃん。中学のジャージの私と違ってとてもオシャレだ。ハート柄のワンピース。しかもモコモコ。とても可愛らしい。しかもすっぴんだからいつもより幼なくなってちょっと緊張してしまう。
「う、うん。」
私はベットから起き上がって座り直して咲夏ちゃんから目を逸らしつつ、返事をする。
「この後どうする?勉強する?」
隣に座られる。とてもいい匂いする。え、いい匂い。同じシャンプー使ったよね?いい匂い。
「聞いてる?」
「あ、はい。ベンキョウシマスカ?」
匂いや咲夏ちゃんのパジャマ姿にやられて私らしくない発言をしてしまった。本当は映画か何かを一緒に見たかったのに……。
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