幽霊の日

川谷パルテノン

此処

 幽霊が見える。それはうっすらぼんやり。人のような気もすれば煙のような気もして。誰ですかの問いは永遠に一方通行。

 幽霊が見える。それでも朝はやってくるし夜にもなる。咥えた食パンはとられないし牛乳も飲み干せばお風呂だって入る。誰ですかの問いは今日も一人暮らし。

 幽霊が見える。私は子供で怖いことも知らなかった。教育が進んでも当然はずっと自然でたまに出てくるクモのが怖い。誰ですかの問いは雨音にかき消される。

 幽霊が見える。友達がいない。寂しいことと思うには大人になりすぎた。置いてきたもののほうが見えなくて。誰ですかの問いは本日諸事情で休業です。

 幽霊が見える。幽霊も見える? 私はいつもここにいます。やっほー。誰ですかの問いに私だよって答えました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幽霊の日 川谷パルテノン @pefnk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る