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「草食アングラ森小説賞」講評発表に際して

 皆々様方、こんにちは。今の今まで黙っておりましたが私が謎のポメラニアンこと川谷パルテノンでございました。この犬いったいどこの馬の骨? と思っていた方ばかりかと思いましたので一応正体を晒しておこうとなった次第です。

 さて件の講評がついに発表され、ご参加いただいた皆様方にはひとまずお疲れ様でしたと併せてありがとうございますと感謝の弁を述べたいと思います。重ねてになりますが本当にありがとうございました。
 また、ともに評議員として立たせていただいた主催である謎のイートハーブ様、そして謎の白猫様。この度は大変貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。何かとご迷惑もおかけしたかと思いますが、お二人の温かい人柄に救われつつ最後まで走り抜くことが出来ました。感謝を。


 企画について、私自身が感じたことを少し語りたいと思います。もし犬の戯言を聴いてやってもよいという方がいらっしゃいましたら今しばしお付き合いのほどよろしくお願いします。

 私自身、読書が好きでこれまで趣味として挙げてきたものの一つでありましたが、最近はまともに(まともとは何かはさておき)通読することをやめておりました。何故かと言えばポケモンとモンハンとちょっぴりメガテンの所為にしたいところですがその実、自身の怠けに他なりません。積まれた本に気圧されて逃げるようにコントローラーを握っておりました。
 今回評議員をやってみませんかと主催様からお誘いいただき、初めこそ無知ゆえか軽い気持ちで引き受けたと記憶します。企画がスタートし、作品が出品されるにつれてこの時の態度が良くなかったと反省しました。断っておくとそれは後悔とかでなしに、お一人お一人が「アングラ」と定めたテーマに対して、それぞれの持ち得る熱量を文章に宿して臨まれていることに気付かされたからです。小説を書くということは無から有をつくる作業です。厳密にはその方の経験則や知見からくるもので完全な無からの芽生えではないにしても、その日までなかったものが形をなして現れることには尊敬の念があります。そういった中で生まれてきた作品群を前に我が心の黒死牟が「こちらも抜かねば無作法」とここでようやく自覚と責任が発露いたした次第です。
 私はとにかく正直に参加作と向き合うことを心がけました。結果として答え方が講評と呼べるような高尚な代物であったのかは今でもわかりません。他のお二人に比べると文量も割かれていない。人によってはズケズケと辛辣に書いた部分もあります。言い訳はしません。評議員をやる以上、反論も覚悟の上。「それは違うよ!」と苗木誠くんもそう言っているように一人の人間が偉そうに語れる正しさなどないと私自身も思っています。ただただ感じたことをまま述べたというのが実際のところであります。

 企画の性質として読み手が三名いることで気付かされたことがあります。私は自分の講評を書き終えるまでお二方のそれには目を通さないでいたのですが、終えてみてあらためてそれらを交えて読んでみると当然ながら読み口も三者三様であると。そこには読み落としの気づきもあれば、まるで予期しなかった角度があり、それで思い知るのは人一人がその一作から全ての魅力を引き出すなど不可能だということです。これは我々が読み手として優れていないとかそういったレベルの話でなくて、読むときに携えている視点は人によって疎らだということ。先述した私自身の読書からの逃げみたいな話が、この気づきによって軽やかになっていくのを感じました。一つの作品から自分が感じること、それがたったひとつだったとしてもその体験には既に意味があるのだと思いました。またそれが誰かと共有されて世界が広がるのだとも実感します。そこがこういった講評ありきの小説企画の持つ有用性だとあらためて感じました。

 今企画における私の講評をどう受け止めて、或いは流していただいても構いません。ただどうであれこれからも創作に挑まれる方々の何かしらの助力になれたならこれ幸いです。
 私が感じたそれぞれの作品についてのことは謎のイートハーブ様の講評発表記事の中に書いてある通りです。また思うところあれば別の場所で感想として書く、などということもあるやもしれません。

 最後に、このような素晴らしい企画に読んでいただいた主催様、共に走っていただいた評議員様、そしてご参加していただきました皆々様にはあらためて感謝を。本当にありがとうございました。企画としては一旦の幕を閉じますが、これからも素晴らしい小説が書かれることを心より願っております。

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