第17話 はじめてのB⑥
前回までのあらすじ。
好きな子からキスしてあげると言われて文句言ったら好きだと言ってもらえました最高です。
さて、ではそろそろ、決戦の日の話に入ろう。その日は唐突に、いや、当たり前のようにやってきた。
たくさんの話をして、相談されたり、お互いのことを話したりして、距離を近づけてってだ。更に、キスの約束とか、お互い好きである事まで話をしたのだ。デートの約束なんてものは自然に……、いやまぁこれもまた誘うのかなりビビったんだけどさ。『とはいえ、このタイミングで誘うとか、何こいつどんだけ早くチューしたいの脳みそマジチ○ポキモくない? とか思われたらやだなぁ』とか思ったりなんかして誰が病気だよ、くるせーいい加減にしろ! とまぁ、かなり勇気を出してさ、「今度、どっか行こうや?」なんて俺は由美ちゃんに言って、「え? いいの? いこー!」とか言われてデートの約束は完了した。かなり昔の話だから、自分とはいけこいつマジでムカつくな。
そして、待ちに待ったデートの日、俺は車(じーちゃんのやつ)を飛ばして由美ちゃんを仕事帰りに拾って、地元の河川敷に行った。そこでは2人で並んで座って、川を見ながら話をした。その内容はいつもよりも薄っぺらくて、お互いをイジってみたりとか、仕事の話。綺麗な夜の川も、話の内容も本当はどうでも良くて、俺はただ、由美ちゃんの可愛さに心を奪われていた。由美ちゃんの照れた顔が見たいからイジって、また真面目な顔がみたくなると普通の話をする。俺はただ、欲望の赴くままに、口と勃起した脳を働かせていた。
「キスがしたい」
その事がずっと頭の中にあったけれど、その事はなかなか言い出せなくて、河川敷からも引き上げて、また車を走らせる。
由美ちゃんは母親と一緒に暮らしていて、あんまり遅くなると心配するのでそろそろ返さないといけない。
キスは、また今度、かな。
そもそも、あの時はいいよって言ってくれたけど、気分だっけ変わるかもしれないし。
なんて思うとそのことを持ち出したりなんて出来ない。だけどあんな大それた約束をしたから頭の中はそれでいっぱいだ。
そして何より、俺は可愛い由美ちゃんの顔をもっと見ていたくて、もっと由美ちゃんのことが知りたくて、つまり、まだ由美ちゃんを家に帰したくなかった。
由美ちゃん家の近所に車を停めて、だけどしょーもない話を振る。
多分、俺の意図はバレていたけど。由美ちゃんは心から楽しそうに笑って、話を続けてくれた。
その事が嬉しくて、話が途切れそうになると話題を変えて、とにかく話を続けた。実家で暮らす大学生の女の子を中々帰さないなんて良くないなってことはずっと頭に過っていたけど、それでも話を辞めることは出来なかった。
だけど話すネタなんて無限にある訳もなく、やがて俺は由美ちゃんをひたすら弄る。ジーッと目を合わせて、
「もう、なんなん? そんな見んといてよ……」
「しゃーないやん、ずっと見てたいねん」
みたいなしょーもなくてキモいノリまでやらかした。
そしたらそこで由美ちゃんが、
「もう、……そんな見られたら、……キス、されるかと思うやんかぁ」
いくら自信の無い俺でも、それがサインであることはさすがに分かった。
その言葉を聞いた瞬間思考は停止して、吸い寄せられるように由美ちゃんに顔を近づける。
近くで見るとその瞳はやたらと潤んでいて、緊張しているような、だけどどこかリラックスしているようにも見える。
その表情はやけに性的で。俺は更に顔を近づけ、そっと、由美ちゃんの唇にキスをした。
初めてのキス。
俺は吸い寄せられるように彼女の口に舌を入れ、それを受け入れて貰えたことに興奮し、もう歯止めは効かなくなる。
俺の右手は無意識に由美ちゃんの方へと伸びていき、
「……んっ、ごめんな、あんま大きくないの、……嫌?」
と言われて初めて、胸を揉んでしまっていることに気付いた。
ーーーーみたいな感じでその後も色んな所をまさぐったりなんかして大興奮してから家に帰した。
エロい行為が、とにかく愛しくて、そのあとはサルみたいになって、色々あって、愛想つかされて振られた。
馬鹿で、弱くて、意地の塊だったあの頃の僕へ ゆきだるま @yukidarumahaiboru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。馬鹿で、弱くて、意地の塊だったあの頃の僕への最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます