第2章 幼少期

この話を説明するには私が保育園に行っていた時まで振り返らなきゃいけない。


私が生まれた村はあまり人口が多くなかった。だから保育園は二つ三つしかないし、小学校は二つ、中学校に至っては一つしかなかった。

そして三つしかない保育園の一つで初めてT君にあったのだ。


私が保育園に入った頃からすでにT君は人気者だったと言っても過言では無いと思う。

運動会のかけっこでは毎年一番で、サッカーでT君が同じチームだったら勝ち確定なんて言われてたことを今でも覚えてる。私が彼と関わったことはほぼ無かったけど、全員参加の鬼ごっこでは一瞬で捕まってしまったような気がする。

だからT君のことが好きな子は多かった。

あぁそういえばその当時保育園で流行ったゲーム(?)があったのだ。


クラスの中心的な女子たちがクラスメイトの女子たちに誰が好きかを片っ端から聞いて回り、勝手に男子に報告する、というものだ。つまり男子(△△君)には「◯◯ちゃんって△△君のこと好きなんだって!」と報告するということだ。そして、このゲームには好きな子が被ってはいけないとかいう暗黙の了解があって被ると無視されたり、いやな顔されたりしてたっけなぁ(証人は私)。

まぁその女子たちは仲のよいクラスメイトの女子から聞いていたし、私みたいな後半の人が苦しくなるに決まってる。完全に出来レースだ。不公平なゲームだった。


あぁ話が逸れてしまった、そんなんじゃあいくら書いても終わらない。

つまりそのゲームで一番最初にに名前が挙がる位にはT君は人気があったということだ。


卒園アルバムの先生からのメッセージには

「げんきいっぱいでぴかぴかえがおのTちゃんががだいすきでした!」

「あかるくげんきなTちゃん✨」

などと書いてあった。


そして、アルバムには満面の笑みを浮かべたT君の写真が載っていた。

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【ほぼ実話】はじめましても言えない君へ 蕗谷海(ふきや/かい) @sanyon_people

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