羊のふわふわあったかコート
仲仁へび(旧:離久)
第1話
とある村の小さなお店。
――ひつじのふわふわようふくてん――
その中には、たくさんの服があります。
お店の中で、一番に人気なのは、ふわふわコート。
それは、店主のひつじ、お手製のおようふく。
とくちょうは、とってもふわふわしてあたたかいこと。
なので、多くのいぬや、くまや、りすや、ぞうなどたくさんの動物達が、ずっと前から買いたいと思っています。
けれど、そのコートは一年に二、三着しかつくれません。
だから、毎年、買えない人の方が多かったのです。
これじゃあいけない。
もっとたくさんのお客さんに、おようふくを届けたい。
そう思ったひつじは、おようふくのふわふわを、増やす研究を行いました。
動物達にとって、寒さから身を守る事は、とても大事な事。
だから、ひつじの店主は、たくさんの人にふわふわのコートを着て、快適に過ごしてほしかったのです。
決意したひつじの店主。
お仕事の合間の時間を見つけて、とにかくしこうさくごを繰り返します。
色々な薬品を使ったり、道具を使ったりして、くふうやちょうせんを行いました。
その努力のかいがあって、ふわふわは少しだけ増やす事ができるようになりました。
けれど、まだまだ足りません。
動物達は多いので、もっともっと必要です。
ひつじの店主は、悩んでしまいました。
そんな時に、遠くからやってきた渡り鳥の隊商が、良い道具をもってきました。
なんでもふやせるまほうのお薬。
それを使えば、ふわふわをもっと手軽に、うんと増やす事ができます。
けれど、隊商の動物が言いました。
ふわふわを増やしたら、お店のコートがうれなくなってしまうけど、それでもいいのかい?
ひつじの店主は、その質問に答えます。
みんなの笑顔が見たくて服屋を始めたんだから、ほんまつてんとうにならなくてよかったよ。
数か月後。
身も凍えるような、寒さの季節がやってきました。
しかし、みんな外に出て、思う存分遊んだり、仕事をしたりすることができます。
なぜなら、ひつじの店主が増やしたふわふわがあるからです。
少なかったふわふわコートは、今では誰でも着れるようになりました。
その影響で、ひつじのお店のふわふわコートはすっかりめずらしいものではなくなってしまいました。
ですが。
動物達はふわふわコートを着るたびに、羊のお店の事を思い出して、服を買う時にその店へと向かうのでした。
羊のふわふわあったかコート 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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