第2話 「それならその草餅一つ食べさせて!」

「コンビニ寄ろう! コンビニ!」

 美咲が俺の鞄の紐を思いっきり掴んでコンビニの方に誘ってきた。

「わかった。わかった……引っ張るな」

 体が左右に揺れながらコンビニの方に向かった。

「あずきバー。あずきバー」

 美咲が真っ先にアイスの方に歩いていく。

「ホント小豆系の食べ物好きだよな……」

「えー美味しいじゃん小豆」

 ほっぺを膨らませてこっちを見ていた。

 ばあちゃんに小豆を進められてから美咲の好物が小豆の食べ物。こしあん、あんぱん、もみじ饅頭に饅頭、あずきバー。

 お盆なんかおはぎをぺろりと食べてしまうほどだ。

「渡も好きでしょ小豆の食べ物」

「……まあ好きだけど」

 好きと言葉に反応してしまった。

「俺もなんか買って帰るか……」

 レジの近くに置いてあった草餅を手に取りあずきバーと一緒に会計してもらった。

「ありがと~ござーました~」

 コンビビニから出て美咲にあずきバーを渡した。

「ほいよ」

「ありがと~」

 美咲は袋に包んでいるを取ってアイスをぺろぺろと舐め始めてた。

「まだ冷たい……」

「それはそうだ」

 俺は草餅を一口かじり。お互いで食べ歩きながら歩いた。

「ねぇ渡の家に行って対戦をしようよ!」

「家から遠いだろ」

 美咲と俺の家とでは家が反対方向から帰るのが大変だ。

「えー良いじゃん! ゲームしようよ! 買ったら渡の家にあるプリンをかけて勝負しようよ」

「……もう食った」

「えー!」

 残念そうな表情を美咲がみせた。

「それならその草餅一つ食べさせて!」

「――っ!」

 一瞬固まってしまった。美咲にこれを食べさせるということは間接キスになってしまうということだ。

「ねぇ! 食べさせて」

 鞄を掴んで左右に揺らしてくる。

「あーもうわかったから。あと家に行くんだった行こう。おばさんたちに心配かけちまうから」

 俺はさっきまで食べていた草餅を美咲の方に寄せた。

「わかったありがとう!」

 何のためらいもなく一口……少し大口った気がするが、

「草餅美味し~」

 この笑顔見れただけで良かった。

「……」

 俺はおもむろに口の中に草餅を入れ込んだ。

「うまっ」

 少し、味がわかんなかった気がしたが間接キスのせいかも知れない……。

 

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ただの好きなだけのラブコメ 二髪ハル @2kamiharu

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