第3話 妹

「ただいまぁ…」


気の抜けた声で言うと


「お帰りなさいませ、お兄様」


と、目の切れ長な現代で言うところのボーイッシュな女性が少し不機嫌そうに挨拶を返してきた。

この女性はニルダ・フォン・バーミリオン

このカイルの義理の妹だ。


「お、おう…ただいま…」


気まずい!

元々、ニルダは人の思いをコケにするような行動や人を見下すようなことを1番に嫌っているはずであり、それら全てやってしまったのがこの俺、カイルなのである。


「では、私はやることがありますのでこれで」


ここで黙ったままだとまずい気がする!


「そ、そうか…頑張れよ!分からないことがあったらいつでも俺を頼っていいからな!」


それを聞いたニルダが今まで見たことの無い表情を浮かべている。

不安、疑念などといった負の感情が闇鍋のように混ぜられたような顔だ。

正直言って俺は原作のカイルのようにメンタルが強くないのでやめて欲しい、軽く3回死ねる。


と、考えているうちにニルダは小さく頭を下げ、自室へと帰って行った。


ここでニルダの設定の説明をしよう。

さっきも言ったが、本名はニルダ・フォン・バーミリオン、俺の義理の妹、元平民だ

なぜ平民のニルダが義理の妹かと言うと、カイルの父メルケスがニルダの剣技や容姿を惚れ込み、養子になることを提案したからだ。

もちろんニルダ自身は貴族になるつもりもなく、父の提案を断ろうとした。

しかし、ここで父の貴族としての凝り固まったプライドが許さず、脅してまでもニルダを養子にしたのである。

父は、家族として仲良くやれていると思っているが、ニルダは父を嫌っている。(というか、バーミリオン家を嫌っている)

父はどこまで理想を語れば済むのだろうか…


そんなニルダだが、このような逆境を乗り越えて学園では王子の攻略対象になる。

その時の、王子にデレた顔がイセラビ随一と言えるほど可愛いのだ。

俺には、まだ一度も注がれたことの無いデレだ


まぁ、そんなことを言ったって過去は変えられないのでこれからの未来を変えるしかないわけである。


「まずは、ニルダの好感度を上げて少しでも破滅の未来が無くなるようにしないといけないなぁ…」


そう思いつつも何も案が思いつかず、とりあえず洞窟での疲れを癒すために自室に戻り寝ることを決意したのであった。



………………………………


【ニルダ視点】


「あれはなんだ!」


ニルダは困惑していた。

いつもは自分を見下すような言葉をかけ、不愉快にさせる兄がいきなり人が変わったように控えめな応答で、さらに「俺を頼れ」とまでいって来たからである。


「なんだ!?今までの行動を振り返り改心したのか!?…いや、そんなはずは無い、そう簡単に人は変われない、何か裏があるはずだ…」


と、要らぬ気を回し神経をすり減らしていた。


「だが、元平民である私に親切にして兄上になんのメリットがある?…ますます分からなくなってきた、一度スッキリするために仮眠を取ろう。」


そう言って、奇しくも自分を不愉快にさせる兄と同じ行動を取るニルダがいた。










皆さんお久しぶりです!

ここのところ忙しかったり、書くモチベーションが全然わかず書いていなかったのですが久々に書いてみました!

これからもこのようなことが多々あるかもしれませんが暖かい目で見ていただけると幸いです。




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悪役貴族になったけど異常なくらい強かったので心入れ替えて無双する 有馬 雫 @macaronipoteto2007

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