【童話】こんにちは、風の精れいです【朗読あり】

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こんにちは、風の精れいです

こんにちは、ボクは風（かぜ）の精（せい）れいだよ。

ふわふわ、ふわふわ。

空（そら）にうかんで、びゅーって飛（と）ぶんだ。

日本（にほん）の上（うえ）を、ふ～わふわ。

山（やま）を登（のぼ）って、ふ～わふわ。

川（かわ）を下（くだ）って、ふ～わふわ。

人（ひと）の足下（あしもと）を、なでさすり。

谷（たに）の合間（あいま）を、ふきぬけて。

海（うみ）の上空（じょうくう）を、わたってく。

ボクは世界（せかい）を旅（たび）するんだ。

西風（にしかぜ）になって、アメリカへ。

すっごく広（ひろ）くて大（おお）きいよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

大（おお）きく開（ひら）いたハイビスカスの花（はな）がキレイだね。

ダリアのみわく的（てき）な香（かお）りがするよ。

ちょっと南（みなみ）に寄（よ）り道（みち）だ。

探検（たんけん）したくて、ジャングルへ。

いろんな動物（どうぶつ）に出会（であ）ったよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

不思議（ふしぎ）な形（かたち）をしたデイゴの花（はな）がキレイだね。

カトレアの気高（けだか）い香（かお）りがするよ。

またまた大（おお）きな海（うみ）に出（で）た。

海（うみ）をわたって、アフリカへ。

砂（さ）ばくの日差（ひざ）しに参（まい）ったよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

細（ほそ）い花弁（かべん）のガーベラの花（はな）がキレイだね。

アロエの優（やさ）しい緑（みどり）の香（かお）りがするよ。

今度（こんど）は北（きた）へと向（む）かうんだ。

光（ひかり）を目指（めざ）して、おう州（しゅう）へ。

おしゃれな街並（まちな）みキレイだよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

かわいらしく上向（うわむ）くシャムロックの花（はな）がキレイだね。

エーデルワイスのすずしくさわやかな香（かお）りがするよ。

もっと北（きた）を探検（たんけん）だ。

気温（きおん）が下（さ）がって、た～いへん。

氷（こおり）に包（つつ）まれこごえるよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

かわいらしく下向（したむ）くスズランの花（はな）がキレイだね。

カモミールの優（やさ）しい香（かお）りがするよ。

寒（さむ）いところはもうイヤだ。

インドを目指（めざ）して、南方（なんぽう）へ。

紅茶（こうちゃ）の香（かお）りを連（つ）れてくよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

ふわっと広（ひろ）がるハスの花（はな）がキレイだね。

ボダイジュの甘（あま）い香（かお）りがするよ。

島々（しまじま）いっぱいここどこだ？

東南（とうなん）アジアだって、へーへーへー。

土砂降（どしゃぶ）りスコールにげ出（だ）すよ。

と中（ちゅう）でお花（はな）を見（み）かけたよ。

明（あか）るく楽（たの）しいゴールデンシャワーの花（はな）がキレイだね。

ジャスミンの夜（よる）の香（かお）りがするよ。

世界一周（せかいいっしゅう）して日本（にほん）にもどったよ。

やっぱりここが一番（いちばん）さ。

ボクはとってもお気（き）に入（い）り。

ん、何（なん）だい？

ボクの事（こと）をもっと知（し）りたいのかい？

いいさ、何（なん）でも答（こた）えるよ！

ボクの性別（せいべつ）はどっちなのかって？

精（せい）れいだから性別（せいべつ）はないのさ！

感（かん）じるまま好（す）きに判断（はんだん）して良（い）いよ。

ボクが半（はん）ズボンをはいた男（おとこ）の子（こ）みたいに見（み）えるって？

キミはそう思（おも）っているだけさ！

他（ほか）の人（ひと）にはまたちがって見（み）えるよ。

学生服（がくせいふく）を着（き）た女（おんな）の子（こ）かと思（おも）ったって？

ほらね！

そう見（み）える子（こ）もいるんだよ。

ボクの姿（すがた）が見（み）えないって？

ボクは精（せい）れいだから、心（こころ）がキレイな子供（こども）にしか見（み）えないんだ！

大人（おとな）になったらボクの事（こと）は忘（わす）れちゃうんだよ。

ボクはいつもどこにいるのかって？

いつでもどこでも、キミの近（ちか）くにいるんだ！

大人（おとな）になってもキミの事（こと）を見守（みまも）っているよ。

日本（にほん）のどこが好（す）きなのかって？

やっぱり四季（しき）があるところさ！

春夏秋冬（しゅんかしゅうとう）、色（いろ）んな楽（たの）しみがあるじゃないか。

さあ、そろそろボクは出（で）かけるよ。

せっかく日本（にほん）に帰（かえ）って来（き）たからね。

大好（だいす）きなこの国（くに）を、少（すこ）し見（み）て回（まわ）ろうと思（おも）っているんだ。

春（はる）は草花（くさばな）が芽（め）ぶく季節（きせつ）！

ツツジ、チューリップ、忘（わす）れな草（ぐさ）。

それに何（なん）と言（い）っても、キレイなサクラが満開（まんかい）になるんだ！

春（はる）のボクは、みんなのきらわれ者（もの）さ！

ふわふわ、びゅーって。

スギの樹（き）の花粉（かふん）を運（はこ）ぶからね。

夏（なつ）は草木（くさき）がしげる季節（きせつ）！

バラ、アジサイ、百合（ゆり）の花（はな）。

何（なん）と言（い）っても、ヒマワリが太陽（たいよう）に向（む）かって顔（かお）をそろえるんだ！

夏（なつ）のボクは、ときどききらわれ者（もの）さ！

びゅーびゅー、ごうごう。

大（おお）きな台風（たいふう）を運（はこ）ぶからね。

秋（あき）は紅葉（こうよう）が色（いろ）づく季節（きせつ）！

コスモス、サザンカ、シクラメン。

ヒガンバナが真（ま）っ赤（か）になると、みんなお墓参（はかまい）りに行（い）くみたいだ！

秋（あき）のボクは、みんなの人気者（にんきもの）さ！

さわさわ、ざわざわって。

おうぎ型（がた）のイチョウとカエデの葉（は）っぱを落（お）としてあげるね。

冬（ふゆ）は世界（せかい）が白（しろ）く染（そ）まる季節（きせつ）！

バンジー、マーガレット、梅（うめ）の花（はな）。

デンドロビウムなんて、カッコイイ名前（なまえ）の花（はな）もさくんだ！

冬（ふゆ）のボクは、やっぱりきらわれ者（もの）さ！

ふーふー、ぴゅうぴゅう。

冷（つめ）たい北風（きたかぜ）にふかれるからね。

四季折々（しきおりおり）、色（いろ）んな景色（けしき）を楽（たの）しむだけじゃないよ。

ボクにはやらなきゃいけない事（こと）があるんだ！

それも順番（じゅんばん）に教（おし）えてあげるね。

冬（ふゆ）のボクはわたり鳥（とり）を運（はこ）ぶんだ！

ボクがびゅーっと息（いき）をふきかけて。

風（かぜ）に乗（の）って鳥（とり）さんたちが羽（は）ばたいて行（い）くよ。

春（はる）のボクはタンポポの種（たね）を運（はこ）ぶんだ！

ボクがびゅーっと息（いき）をふきかけて。

風（かぜ）に乗（の）って綿毛（わたげ）たちが広（ひろ）がって行（い）くよ。

夏（なつ）のボクはガマの実（み）をふくらませるんだ！

ボクがびゅーっと息（いき）をふきかけて。

風（かぜ）に乗（の）ってゆれる実（み）たちがパッと開（ひら）いて行（い）くよ。

秋（あき）のボクは一休（ひとやす）みするんだ！

ボクがふきかけた息（いき）に乗（の）って。

ほらご覧（らん）、あそこにある白（しろ）い灯台（とうだい）につかまろう。

ここは海（うみ）に近（ちか）い絶景（ぜっけい）さ。

ボクはつかれて何（なん）だか眠（ねむ）たくなっちゃった。

松（まつ）やカシワの樹（き）がさわさわと。

ボクに子守歌（こもりうた）を歌（うた）ってくれるよ。

ワカメやコンブがざぶざぶと。

ボクが立（た）たせた波（なみ）に乗（の）って集（あつ）まって来（く）るよ。

テングサにウミブドウ。

ボクの周（まわ）りに真（ま）っ赤（か）なサンゴまで寄（よ）って来（き）たよ。

チョウチョやウミドリさん。

ボクと一（いっ）しょに休（やす）むかい？

たくさんの星々（ほしぼし）の光（ひかり）と、波音（なみおと）に包（つつ）まれて。

それじゃあ、お休（やす）みなさい。