頭のおかしいメンヘラカップル

によ

頭のおかしいメンヘラカップル

死にたい。

先週彼氏が死んだ。

なんか、トラックに轢かれそうになっていた野良猫を助けて、代わりに轢かれて死んだらしい。

話を聞いた時、涙よりも先に笑ってしまった。

笑い終わった後にしっかり号泣したけれど。

タバコを吸おうと棚を開けると、カートンで買っておいたはずのタバコがもう無くなっていた。

そんなに吸ったっけな。

コンビニに行くのは面倒くさい。

小さい頃は大嫌いだったはずのタバコをこんなにも欲している自分が気持ち悪かった。

親につけられた火傷の跡が残る首の後ろをボリボリとかきむしる。

ゴミにまみれた部屋は、布団の上だけ安全地帯。

寝転がってスマホをつけると、明らかに怪しいサイトの広告が表示された。

【確実に死ぬことができます。お電話ください。死神サポートセンター】

彼氏がいなくなってから、何回か死のうとした。

大量に薬飲んでみたり、危ない煙たいて首釣ってみたり。

だけど、なんだかんだ生きてる。

死ぬって難しい。

とりあえず怪しげなサイトをクリックして、電話をしてみた。

もうどうにでもなれ。

「こちら死神サポートセンターです。死をご希望ですか?」

「はい。なる早で」

「かしこまりました。そちらに死神を派遣いたします」

電話が切れたかと思うと、目の前に黒い煙が現れ、そこから死神らしき、黒のローブを着た骸骨が出てきた。

「私が本当に死にたいのかと、聞く。本当に死にたければ、はい。と。やはり生きたいなら、いいえと答えよ。機会は一度きりだ」

私は頷いた。

「本当に死にたいか?」

「はい」

そう言うと死神は、持っていた大きな釜で私の首をちょん切った。

ちなみに痛みは感じなかった。ラッキー。

「鈴鹿、起きて」

彼氏の声がして、目を開けるとそこにはさっき私の首をちょん切った死神がいた。

「鈴鹿に会えなくて寂しかった。先に死んじゃってごめんね」

彼氏の声で話す骸骨はいう。

「え、悠人?」

「そうだよ!僕は鈴鹿に会いたくて、自分からこの職を希望したけど、死神に殺された人は、自分も死神になるんだよ!鏡見てみ!」

鏡を見ると、私も骸骨になっていた。


まあ、なんだかんだこれからも彼氏と一緒に居られるみたいで、私的にはハッピーエンド。

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