??:??―宇宙的侵略者の述懐

 残虐だなあ、この星に住まう人々は。


 我々がノイズを生み落として、ひと噛みしてやったところ、奴らはこれでもかというほど我々の事を忌み嫌い、しまいには「どれほど早く、大規模に、または美しく、ノイズを倒せるか」を競って、ゲームまで始めたではないか。

 なんと言うか…血の気が多いもんだ。戦闘狂だぁ。

…。

 しかし、彼らこの星の連中が、我々によって「怪我こそすれ、たったの一人も死人を出していない」というノイズ像と、それにも関わらず「奴らが我らの用意したノイズに過剰防衛よろしく傷を加えている」という事実に気付いたとき、どう心象は変化するだろう。恥ずかしがったり、後ろめたさを覚えたりする…そんな変化があるだろうか。

 悪い気の迷いかも知れぬが、ちょっかいを掛けたくなってきてしまった。そこで、接触のタイミングをギリギリまで引き延ばし、ノイズ量を増やし、もうしばらく観察してみることにしようと思う。


 連中はみんな真面目だよ。真面目だからこその空回りだったよ。ミサイルももう、円盤に直接撃ってくることはなくなったし、先述の事柄に気付くのも時間の問題だ。…続く観察記録の送信に期待しておいてほしい。

 でもいよいよ、邂逅する時期も近づいてきて、めでたい限りだ。

 この任務を命じてくれてありがとう。帰ったら冷蔵庫にノイズ乳を冷やしておいてくれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

降雨と濃霧でトドコオル。 繕光橋 加(ぜんこうばし くわう) @nazze11

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ