002:倍速の世界を生きるということ
「映画って、真剣に観ようとするほど眠くならない? 倍速を考えたヒトは神」
「……茜。俺は常々思っていたが、映画を倍速で観る理由が分からない」
「えっ? だって長いし、飽きるし。推しが映ってる所は観るけど、あとは時間の無駄じゃん? 全部観るくらいなら次の映画に移ったほうが良い」
「なるほど。よく分かった。そんな茜にぴったりの映画がある」
「何? 推しがいないなら観ないよ?」
「もちろん、推しがいる映画だ。しかも3分弱という短さだぞ」
「嘘。そんな報告、ツブヤイッターになかった」
「現在進行形でヨウチューブで話題になってるのに、か?」
「……動画のタイトルは?」
「確か『倍速の世界より愛を込めて』だったはず。まぁ、観るも観ないも茜の自由だけどな」
◇ ◇ ◇
「ちょっと、騙すなんてありえないんだけど!?」
「騙すとは?」
「最初から最後までエンドロール! しかも推しは出ないわ、さすがの私でもあんなの映画じゃないって分かるわ!」
「いやいや、れっきとした映画だよ? それに推しの名前も出てたでしょ?」
「推しの名前……?」
「初めから倍速で観れて、推しも観れて、良い映画だったろ?」
自主企画:対話体の小説を読みたい。 落花亭 @fall_flow
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