第二十四話 守護神と呼ばれて
興国してから五年の月日が流れた。俺はツヴァイ兄上の立ち上げたクランでフレンズ王国の周囲に湧く魔獣や魔物を退治して、時には帝国(辛うじて帝都だけを残して存続を認められた)の嫌がらせを潰して過ごしてきた。
現在の帝王はビケイから代替わりしており、戦争時に王太子であったザルツが帝王となっている。魔皇国との戦争で帝都で籠城戦をして、長引くのを嫌った魔皇国の皇帝からの和睦に飛びついて、その領地が帝都だけになったという間抜けぶりだ。
この三年間でフレンズ王国は元の帝国の領土を吸収合併して広げたが、必要以上の領土拡大はせずに堅実に王国の内政を行ってきた。
そんな中、隣国の王国に厄災と言われるドラゴンが現れたので俺達が派遣されたり、魔皇国でも封印された邪神が復活したので来てほしいと頼まれたりと、フレンズ以外にも出かけたりしていたが、基本的にはフレンズ周辺にいた俺達。そんな俺達を人々は【フレンズ王国の絶対守護神】と呼ぶようになっていた。
俺の
カンストした俺の能力は仲間たちに言わせたら反則らしいけど、授かったものだから俺にもどうしようもない。
▼▼▼▼▼
能力1[
蟻牙小刀 熟練すれば石でも切る事が出来る小刀
蟻頭鎧 熟練すれば鉄の武器では傷つかない鎧
蟻重力 熟練すれば高い所から落ちても大丈夫
能力2[
蟷螂剣 熟練すれば魔法を斬る事が出来る剣
蟷螂羽 熟練すれば距離は短いが飛行可能に
能力3[
蜻蛉眼 熟練すればどんなに速いモノでも見切る
滑空 熟練すれば空を滑るように飛べる
能力4[
甲角槍 熟練すれば鋼鉄も穿く事が出来る
甲鎧 熟練すれば中級魔法も防ぐ鎧
能力5[
大牙刀 この世に斬れぬモノは無し
絶防鎧 全てを防ぐ鎧
派生能力1[オニヤンマ]
鬼ヤンマの牙 最高の解体用ナイフ
派生能力2[ヤマトカブト]
幼虫の体質 状態異常無効
派生能力3[ヒラタクワガタ]
派生能力4[ヘラクレスオオカブト]
武芸百般 扱えない武防具無し
派生能力5[テイオウムカシヤンマ]
狂風刃 広範囲で風に乗せて不可視の刃
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この五年で俺達の関係も大きく変わっている。先ずはツヴァイ兄上がシオリと結ばれた。まさかの近親!! 血の繋がりが無いから何の問題もないけどね。
そして、ニースはキャルと結ばれ姉さん女房の尻に敷かれて毎日楽しく過ごしているようだ。Mだったんだな、ニース……
サイとメイは既定路線だったな。二人とも魔法バカで、今は二人して俺の絶防鎧に影響を出せる魔法を研究している。いや、俺って君たち二人の仲間だからね……
カールは未だに彼女が居ない…… うん、カールよ、その内お前にも天使が現れるさ。多分だけど……
レイナウドは隣国の第二王女との婚約が決まっており、更には魔皇国の第三王女とも婚約が決まった。どちらの王女様も活発な方で、何とウチのクランに登録しに来たのでツヴァイ兄上が慌てていた。
そして、俺だけどセレナと結ばれる事になった。やっぱりずっと一途に思われてたら傾いてしまうものだよね。キャルやメイは明らかに途中から俺を親友位置に置いてたけど、セレナだけはブレずに俺を思ってくれていた。
そして俺もいつの間にかセレナが居ないとダメなヤツになってしまっていたんだ。告白は俺からしたよ、勿論。
王国一と言われる様に大きくなったダイアン商会からの依頼で俺とセレナは町の外に来ていた。何故か商会会頭のダイアンとその妻も一緒に来ている。
「ダイアン、本当にあんなのが役に立つのか?」
俺の問いかけにダイアンが答える。
「ガイ、間違いないんだ。あのスライムを生きて捕獲出来れば、王都の衛生問題の九割は解決するんだ」
本当かな〜? 俺はそう思ったけど顔に出ていたのだろう、ダイアンの妻からも説明された。
「ガイくん、本当だよ。主人に伝えたのは私だからね。私のギフトで分かったんだよ」
ダイアンの妻は元々は食堂の娘さんだったし同い年だから気安い関係だ。そもそもダイアン商会の幹部も全員が俺やセレナと同い年だからな。
「そうか、ミツハが言うなら間違いないな」
俺の言葉にダイアンが突っ込んできた。
「おい、ガイ。それじゃあ僕の言葉に信用が無いように聞こえるぞ。これでも商会の会頭なんだぞ」
「ソレを自分から言うからダメなんだよ、ダイアン」
などと軽口を叩きながらお目当てのスライムを探す俺達。そして、ヤツは居た。
「ガイ様、アソコに居ますわ。キングクリーナースライムが」
セレナは結ばれてからも俺の事を様付けで呼ぶ。俺ももう諦めた。夜は逆に興奮するんだけどね。ゲフンゲフン……
ソコに居たのは真っ白なスライムで、一心不乱に魔獣の排泄物を食べていた。うん、この子が居なくなったらこの辺の排泄物を処理する者が居なくなるけど、そのへんは考えているのかな?
するとミツハがスライムに近づいて徐ろにその体に手を当てて目を瞑った。一分程そうしていたけど、手を離して俺達に向かって言う。
「やったわよ、アナタ。ちゃんと上手くいったわ。分裂して取り敢えず五体は一緒に来てくれるんだって」
ソレを聞いてダイアンもホッとした顔をしている。今からダイアン商会の衛生管理部門でこのスライムを増やした後に、グライド国王に話を通して町のトイレ、下水処理場に入ってもらうそうだ。それによって疫病などが起こる確率がかなり減る。それは俺も前世の記憶から良く分かった。まあ、前世では化学でその処理をしていたんだけどな。
帰りの道中では五体のスライムと共に町に戻っていたけど、途中で現れるウルフやボアをサクッと俺とセレナで狩って、ダイアンに売った。うん、いい小遣いが出来たな。
今はフレンズ王国は平和そのものだ。そして、俺達の後継も育ってる。更にはどんなギフトを授かろうとも、ギフトによって人を否定する者は居ない。けれども、何時までこの平和が続くかは分からないから、俺達も含めて皆は今日も守る為に活動をしている。
皆が俺達を守護神と呼ぶけれども、俺からしてみたらグライド国王を筆頭に町の皆が国を守る守護神だと思うよ、本当に。
【Fin】
辺境で守護神と呼ばれた人の成長記録 しょうわな人 @Chou03
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