あとがき
読了ありがとうございました。
ここでは作品について作者が語りたいスペースですので、作者のひとりごとを読んでやってもいいよというお方は、どうぞお付き合いください。
これは書いたのは5年ぐらい前です。
当時は、大河ドラマの『た』の字もなかったときですが、私はずっと、鎌倉殿落馬~三幡姫の流れに疑問をいだいていました。
鎌倉幕府の公式文書である『吾妻鏡』には、そこの「頼朝の死にまつわる」部分がまるっと欠落しているんです! 初代将軍の死が! 作為を感じます。
最初から書かれなかったのか、歴史のどこかの時点で破棄されたのか、分かりません。
しかし、武士のお頭が落馬による死なんて、あるか? もし事実だったとしても、普通なら恥ずかしくて文書に残せないのではないかと。病気とかケガなど、濁して記すのが敬意ってものではないでしょうか。
落馬のあたり、頼朝は健康体ではなかったようですし、複合的な理由で亡くなったと思われますが、平家や義経の怨霊に襲われた説まであります。
吾妻鏡を作ったのは北条氏=幕府の実権を握っている
なので、たぶん、なんらかの力が働いていると想像できます。
……想像し、こんな作品を書いてみました。
鎌倉は海あり山あり、幼いころから何度も訪れましたが憧れの場所です。
小学生のとき、海といったら由比ヶ浜だった!
(大きくなって伊豆の海を見たとき、透明さに驚きました)
(由比ヶ浜は、海水浴場として有名ですが人が多いので)
車だと、横浜方面から山を越えて鎌倉に入るのですが、下り坂になったとたんに、その視界の開け具合が見事で。今でも覚えています。電車だとトンネルなので……
材木座の海。江の島の海。全然違います。
鎌倉で好きなお寺さんは長谷寺です。
大仏もいいけど、長谷寺。あと円覚寺かな。
外せないのは鎌倉文学館。
ここは、旧前田家の別荘で三島由紀夫の豊穣の海『春の雪』の舞台になった場所。私は『春の雪』が大好きなのです。今もすばらしくお手入れがなされていて、文学好き鎌倉好きにはたまらないです。お庭のバラもうつくしい。
ちょっと歩きますが、是非! おすすめです。
横浜に住んでいたときはよく行っていたのですが、今はちょっと足が遠のいていて……でもいつか住みたい候補地のひとつ!
……作品の話に戻りましょう。
鎌倉幕府は、血みどろです。共通の敵(平家)を倒したあとは内部抗争へ移行……理屈は分かりますがそんなことあってもいいのかってほどのバトル。『京都ぎらい』の井上先生が某所でおっしゃっていましたが、『鎌倉幕府はやくざ』。少々物騒な物言いですがまさにその通りだと思います。
源頼朝という貴種を旗頭に据えたけれど、関東武者は一枚岩ではない。
土地がほしい。民がほしい。ぎらぎらしています。
作品中では『佐治原』と、ぼやかしましたがもちろん『梶原』です。景時は頼朝立身初期には欠かせない、その後も要の人物だったと思うのですが、最期はソンナ🈡デスカ!?
(私は義経贔屓なので、やや源氏バイアスかかっています)
でも、ああいう『ちょっと待てよ』って言える人物も組織には必要だよねって思います。頼朝様万歳の部下ばかりでは先行きがちょっと……
なので、二代目以降の鎌倉幕府は、それぞれが自分の家を大事にするあまり、弱体化したのではないかなと推察しています。その中で北条氏がうまくやったと。比企だってチャンスはたくさんあったのに、残念ですな。ちなみにこの比企って、今でも地名に残っているけれど難読ですよね。
そして源氏(頼朝)に仕えているくせに、御家人は平家ゆかりの武家が多いです。頼朝を監視するために平家の武家で囲んだのか。想像は尽きません。
けっこう前に書いた作品でしたが、意外とよく調べてあって、読み返すのが楽しかったです。日本語があやしい箇所がいくつかありましたので修正、描写も追加して公開させていただきました。
まさか大河ドラマに被るとは思わなかった当題材ですが、お楽しみいただけたでしょうか。
あとがき、好きなものでつい書いてしまうのですが……どうしても奥付を先に見てしまう癖もあります。書誌を確認したいので……元・図書館員なものでつい……
本って、たくさんの人の手によって作られているものなんですよ(力説)。投稿サイトでの文章は作者の生の声って感じですが、書店さんに並ぶ本は精錬された日本刀の輝き(大げさです)。
次公開の作品は、たぶん公式さまの自主企画・昔話の二次創作。そちらも読んでいただけると嬉しいです! 一応、かぐや姫(竹取物語)ベースの予定です。当方、へ、平安書きですからね。そもそもの竹取は奈良時代っぽい設定けど、そのへんはそこそこで。
2022/08/06 藤宮彩貴
三幡姫遷化(さんまんひめせんげ) fujimiya(藤宮彩貴) @fujimiya
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