25. 食事中のスマホはマナー違反

兄貴がこちらを見て思いっきり睨みつけられたが、僕は何も知らないかのように白米を口に運ぶ。そんな静寂を麗野が破った。


「てか、姉貴。」


もぐもぐと頬を動かして、麗野は言った。


「食事中に携帯を触るのはダメだ。」


真顔で言う麗野に素早くツッコミが入る。


「真面目かっ!」

「真面目かっ!」


流石、双子とも言われた二人。これまで僕が見たハモりのペア一位はダントツで兄貴と夢望さんだ。そんな事を考えながら、僕は小さく切ったステーキを口に運んだ。


––––––––〜☆〜––––––––


「ごちそうさまでした!!」


声変わりをしていない、希くんの澄んだ声が通っていった。


「めっちゃ美味かった!」

「皆が苦手な物がなくてよかったよ。」


すると、食器を流しへと運んだ夢望さんが目を輝かせ、待ってましたと言わんばかりに皆の方に顔を向けた。


「じゃあ皆!動画、見よっ!」

「そ、そうだな……。」


夢望さんがタブレットをテレビに繋げて、動画を見る準備をしている間、僕は兄貴の方を窺った。顔色が悪い事はなかったが、見たことがない程に緊張した面持ちで動画が始まる画面を見ていた。


「わ〜!始まったね!」


希くんがワクワクしながら体操座りでテレビの1番前を陣取った。


今回の動画は、ファンからも高い人気を評しているゲーム実況だ。その中でも、Part1〜7まで続いているブロックを積んで家を建てるゲームと、Part1〜3(今回で4回目)のオンラインサバイバルゲームが人気のようで、再生数及びファンアートの数もずば抜けている。


『うわっ!?どこ!?どこから撃ってるんだ!?』


兄貴もといskyの叫ぶ声がリビングに響き渡り、兄貴が顔を突っ伏した。


『あっ、死んだ!』

『おい、sky……。』

『……んだよ。』

『お前下手くそかよ〜!』

『は!?もうこの実況4回目なんだからそのぐらい解ってるだろ!煽ってくるな!』

『はいはい。雑魚skyさんの為に"俺が"頑張ってやるよ。』

『急にfryがイケメンすぎて泣けてきた』


なんだかんだあってfryがskyの敵討ちをし、一位となった所で次回となった。画面にデカデカと映し出される次回の予告。


【skyの腕を上げよう!fryとの特訓!】


兄貴の頬は小さく痙攣していた。

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名前なんていらない ゆでだこ @ream-fl-yume

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