弓の名手・后羿さんと、彼に付き従って地上に降りたその妻・姮娥さんの、物憂い毎日の物語。
古代中国の神話調のお話です。
名前や設定等々から察するに、羿と嫦娥の逸話が元っぽい作品。
神々の世界たる清浄な天と、打って変わって穢れに満ちた地上など、神話らしい設定とそのスケール感が魅力的。
とはいえ、描かれていることそのものは普通の人間たる私たちにも通じるものがある……というか、
「夫の転勤のおかげで田舎住まいになったものの、どうにも馴染めずに苦悩する妻の悲哀」
みたいなところがあったりして、この〝わかる〟感じがとても素敵です。
悲劇であると同時に、ある種の愚かさのようなものを描いてもいる、短いながらも印象的な作品でした。