落ちのびた後にも日は続く
人災は自然災害であり、自然災害は人災である。
その言葉を残したものは息災であろうか。疲弊しておらず、目の濁ること無いままにものをみる筋を残しているであろうか。格言めいた発言を繕おうとする願望の中にさえ、災いが含まれているこの男を、大衆は憐れんで施した。
衣を持たず卑近な物乞いとなった男はかつて時の人であり、多くの人間の労苦を取り払う技をもたらした研究者であった。9割が想像の通りに使われた。しかし1割の悪用によって技は汚れ、その名によって大衆は技を知った。
現象は茶の間を賑わす席でのみうたわれ、人は名の上がる度に技の邪悪さを子に伝え、それは今日も伝播している。かの者は未知の先から滑り落ち、今日も施しを授かりに歩く。
今私の目の前に居るのは、そのような人間だった。
つつワタリ @kanji
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