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    首都にて(3)への応援コメント

    客観的に見てしまえば、十分すぎるほどに恵まれた人生を、欲望のままに行動して棒にふってしまった破滅の物語、とも言えてしまうんですが。

    彼女の主観的に見れば、けして満たされない憧れを追い続けてるだけ、なんですよね。
    人生において望めるほとんどあらゆる物が与えられた彼女だったけど、本物の恋というものだけは手に入らなかった。

    だからそれが彼女の世界の中心になってしまったんだろうなって。
    それを追い続けるのは不幸なのか、といえばたぶんそうじゃない。
    満たされた無かったとしても、希望はありつづけますからね。
    例え永遠に手の届かないものだったとしても。

    作者からの返信

    まずは、こちらにも素敵なレビューをありがとうございました!

    2万4000字という短編の話ですが、一人の少女の初恋と結婚を描いた作品でした。

    満たされない憧れというのは、誰しも心の中に持っている物だと思います。不自由のない生活、安定した生活、そして伴侶。それらを得てしてもエトワールの心はぽっかり穴の空いたような、そこに生命を維持する水を注いでも穴が空いたコップには水は溜まらない。

    他者から見れば、恵まれた環境にあったエトワールですが、彼女はあまり自我というものがなかったのかもしれませんね。そのくせ、ないものを追い求めてしまう。基本的に受け身なのに、自身の置かれた場所を悲観したり誰かのせいにしてしまう。

    でも、仰るとおり、彼女はけっして不幸ではなかった。
    これまで受け身であったエトワールが最後に選んだ行動は、彼女自身がはじめて自分らしくあったのではないかなと、そう思います。

    ご高覧とたくさんのコメントを、ありがとうございました!

  • 首都にて(2)への応援コメント

    軍人さんへの憧れって、あくまで、エトワールにとって今の生活に対する不満のはけ口でしかないのが、この作品の面白い構図なんですよね。

    彼女は実際に軍人さんの人となりを深く知っているわけでもなく、ほんの数時間一緒にいただけでしかないっていう。

    彼に向ける感情は恋といっていいのかどうかすら怪しい感情。
    だから恋というよりも、今ここにない何か、を象徴するアイコンになってしまってるんだろうな。

    隣の芝生は青い、ってやつで、隣の芝生が本当に青いかどうかはこのさい関係ないんですよね。
    今ここにないものだから、憧れてしまう。

    一方で客観的に見れば、彼女ほど恵まれた生活をできてる人はどれくらいいるのだろうっていう。
    望まぬ結婚をした人など星の数ほどいるだろうし、なおかつ経済的に恵まれてない人などそれこそ、その何万倍も存在する。

    それでもなお、今ここにない何かを求めてしまうのが人のさが、とでも言えば良いのか。

    作者からの返信

    そうなのです。

    十六歳のエトワールにとって、あの列車での数時間という時間はそれほど長い時間ではなかった。にもかかわらず、これほど大きくエトワールの心に残ってしまったのは、もともと首都行きにも乗り気ではなかったのもあって、夢や憧れなどを詰め込んだ逃げ口なんですよね。もともとどこか夢見がちな少女ですし。

    彼女が馴染めなかった同郷の少女たちからしてみれば、ものすごーく羨ましがられる結婚だと思います。でもエトワールは十六歳の少女で、なおかつ恋を知らなかった。恋に恋しちゃっているかんじもしますね。

    決められた結婚に期待はしていなかったけれど、やっぱり思い描いていたものとはちがう。それも、シャルル=ニコラに惹かれてしまった引き金なのかなと、ふと思いました。

  • 首都にて(1)への応援コメント

    卵サンドをまともに作れない人の、ピーナッツサンドが一番まともだっていうことは、つまりピーナッツバターは自家製ではなく、買ってきた物ってことなのかな。

    何気ない設定だけど、こういう細かな生活感を演出してくれると、世界が身近に感じられるんですよね。

    作者からの返信

    こちらもご高覧ありがとうございます。

    ご指摘通り、市販のピーナッツバターですね。瓶に入っているやつです。近代欧州で瓶売りのピーナッツバターが市井で売られていたのかはさておき……。
    この軍人の母親は、おそらく料理があんまり出来ない人ですね。良家のお嬢さまか、もしくは街娼を生業にする娼婦か。

  • 首都にて(3)への応援コメント

    勝手ながらフランスの、近代あたりの舞台の小説のようだ、と思ってしまいました。
    田舎から出て来た少女、望まぬ結婚、アヴァンチュール的な男との逢瀬、そして……。
    背徳の都、首都での生活は、少女を女にしてしまった。
    そしてその首都から出でて、その視線に浮かぶ光景は……。

    物悲しくも、美しい。
    そんな、お話でした。

    面白かったです。

    ではではノシ

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    まさに!近代のフランスがイメージでした!片田舎から出てきた少女の出会いと別れの物語。ただこのはなしでは誰が悪くて誰が善い人という概念がなかったりします(^_^;
    まだ少女だったとはいえエトワールは考えが幼すぎて、夫のクロードもまた望まない結婚を受け入れて、シャルルはジゴロ……なのですが彼も彼で生きるための術だったり。父親やマダムにしても、年長者からの助言はある意味正しかったりもしましたし(^_^;

    そんなほろ苦いビターチョコレートのような恋物語を目指しました!普段書かない恋愛ものを朝倉が書くとこうなるという……。
    美しいといっていただき、恐縮しております。読了お疲れさまでした。お星様もありがとうございました!

  • 首都にて(2)への応援コメント

    とーちゃんが再婚していたなんて……。
    だというのに、エトワールを祖母の元に置いたままだったのは、面倒くさいからだったのか……^^;
    流されるままに結婚したエトワール。
    その目に、シャルルはやはり眩しかったのか。
    そんなシャルルはシャルルで、果たしてエトワールどう思っているのやら。

    面白かったです。

    ではではノシ

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。
    父親は再婚していたんですよねぇ。エトワールもそれを知っていたからあんまり気乗りじゃなかったようで。父親は仕事が忙しいのもあってエトワールを迎えに行かなかったので、余計に溝ができてしまっているのかもしれません。
    そしてシャルルですが、最初に出会ってしまったことと話が合うこともあって、エトワールはすっかり彼に心を許してしまったようです。彼は下っ端の軍人ですからお金がなくてたくさんのマダムと関係を持っている男ですから、騙そうと思えばいくらでも騙せそうですね……。

  • 首都にて(1)への応援コメント

    ちょっと近代っぽい、欧州っぽいお話ですね。
    汽車、という舞台装置が進むと共に、主人公の語りが、そして相席の人との会話が、その世界へと読む者を誘ってくれます。
    果たして顔も知らない父親が周旋する、結婚相手とは。

    面白かったです。

    ではではノシ

    作者からの返信

    わわっ!四谷軒さん、こちらもご高覧ありがとうございます!

    イレスダートが中世(風)ファンタジーなのですが、こちらは近代風のファンタジーなしのお話です。汽車とか車とかも出てきます。そして珍しいヒロイン視点。ん?シオン?はヒロインというより女主人公であの話はスオウと合わせてW主人公です(聞いてない)
    エトワールはこれから婚約相手と出会うのですが、その前に出会ってしまった軍人さん、実は彼がこの話のヒーローだったりします。

  • 首都にて(3)への応援コメント

    美しく、胸の締め付けられるお話でした。
    エトワールが瞼を閉じた後の光景が、また…。

    素晴らしい余韻に浸っております。
    ありがとうございました。

    作者からの返信

    ご高覧ありがとうございます。

    一人、帰ってしまったエトワール。胸に抱いた想いは色々あったかと思います……。あれは夢だったのか、それとも??

    余韻に浸っていただけて何より嬉しいです。
    お星さまもありがとうございました!