私のtwitterフォロワーは×万です

@HasumiChouji

私のtwitterフォロワーは×万です

「え〜、twitter上に動機を書き残してたんですか?」

 面会に来た国選弁護士は、そう言った。

「ええ、フォロワー数1桁のアカウントですが……」

「マズい事になるかも知れませんね。ちょっとアカウント名を教えて下さい」

「は……はぁ……」

「安心して下さい。私、twitterには詳しいんですよ。なにせ、私のtwitterフォロワーは3万ですから」


「あのアカウント、マズいですよ」

 翌日、面会に来た弁護士はそう言った。

「やっぱり、そうですか?」

「ええ、twitter上での最多数派の推理と逆の動機です」

「へっ?」

「これ、すごくマズいですよ」

「い……いや……どこがでしょうか?」

「twitter民を敵に回すと娑婆では生きていけませんよ」

「いや、でも、俺がやった事、どう軽くなっても懲役20年ですよね?」

「貴方が刑期を終えた後の話です」

「い……いや、でも、twitterって、出来てからまだ10年ちょっと……」

「twitterは未来永劫存在し続けます」

「そう言われてたモノが、いくつ消えてきたんですか?」

「ともかく、私はtwitterに詳しいんです。twitterの事は任せて下さい」

「は……はぁ……。でも、私がお願いしたいのは弁護……」

「検事や裁判官もtwitterやってる時代ですよ。twitterは心証に大きな影響を与えます」

「……そ……そうですか?」

「と言う訳で、あのアカウントのパスワードを教えて下さい」

「な……何故?」

「消します」

「はぁ?」

「そして、自白する場合の動機は、これから言う通りのモノにして下さい」

「な……何で?」

「twitter民の推理と違う自白をすると嘘松扱いされます。裁判官の心証も悪くなります」

「う……嘘松……って何ですか?」


「おい、誰にお前のtwitterアカウント消させた?」

 取調べの時に刑事がまずそう言った。

「はぁ?」

「下手したら、証拠隠滅も罪に加わるぞ」

「え……えっと……」

 そ……そんな……。

「俺達が痛くもねえ腹探られて迷惑してんだよ。twitterでお前のアカウントを見付けた奴が居たと思ったら、すぐに消えたんでな」

「は……はぁ……」

「警察の圧力で削除されたとか、変な噂が立っててな……。何て事してくれた?」


「何で、私の言う通りの自白をしなかったんですか?」

「そ……それは……その……」

 弁護士に言われた嘘の動機には、明らかな矛盾点が有り……刑事にその矛盾点を突かれたのだ。

「まぁ、大丈夫です。私がtwitterで貴方の本当の動機を拡散してあげますから」

 本当の動機? 本当って何なんだ?


「お前の弁護士が、お前の『本当の動機』とやらをtwitterで拡散してるが、ありゃ何だ?」

「そ……それは……?」

「ですので……」

「だから……何だ?」

「えっと……」

「おい、顔色が悪いが、どうした?」

「あわわわわ……ばばばばば……」

「おい……しっかりしろ、誰か、救急車……」


「パニック障害だと思いますが……肥満と高血圧の傾向が有りますから……一応、脳梗塞の検査もしましょう」

「がががががががががががが」

 の……ののの……のののの……脳梗塞?

 い……いい……今、脳梗塞って言ったのか?

 え……えっと、えと、えと……。

「大丈夫です、安心して私に任せて下さい」

 医者は続けて、最悪な一言を言った。

「私の腕は確かですよ。なにせ、私のtwitterフォロワーは4万ですから」

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