三題噺 画家のすゝめ

くろゆり

三題噺  

「美術室」「桃」「偽装」



ゴッホのひまわり


ダヴィンチのモナリザ



有名な絵画には多くの価値がつく


ってことは有名になればお金稼げるじゃん



なんてふざけたことを考えた主人公 業(ゴウ)の話である。




業は高校に入学した。

中学時代、美術部は女子ばかりで、チャラい見た目の業には居場所が無かった。


しかし、当人は気にしていないようで、キャンバスに向かってひたすら絵を描き続けていた。



高校進学と同時に美術室に向かう、


勢いよく扉を開け、大声で叫ぶ。


「美術部に入部します!!」


あまりの大声に中にいた先生は驚いた。


「入りたいのはわかったから静かにしてください」


先生は一息ついて冷静に話した。


「美術部に入って何がしたい?」


「有名な画家になって一生食っていきたい!!」


先生の質問にまた大声で返答した。


「だから静かにって」


「すいません」


業は落ち着いたのか素直に謝罪した。


「それでそんな現実的じゃないこと本気で言ってるのかい?」


先生は問う。


「もちろんです、そのためにこの学校にしたので。」



この学校ではあることが行われていた。


学校内で生徒が作成した絵を外部に売りに出していた。



普通の学校ではあり得ないことだが、絵を描くだけで生きていくなんて難しい。そこで美術部顧問の竜崎先生は、実際に買い手とやり取りすることで、生徒の絵を売っていた。


それを聞いていた業は迷わずこの学校を選んだのだ。



ここなら、絵を売れるし、買ってくれる人が多ければ有名にもなる。


そんな短絡的な発想でここに来たのだ。



「じゃあ、まずは何か描いてみて」


竜崎先生は業に言った。


「わかりました」


キャンバスを用意され早速業は迷いなく描き進めた。


「できました」


1時間半程経ち作品は完成した。


「今度はこれを私に売ってみて」


先生は業に言う。


「この絵は学校を描きました。これから有名になっていくのでその時には価値が上がるので今のうちに安くで買ってください。」


業は自信満々に言った。


「いらない」


「学校の絵なら欲しければ自分で描くし、お金には困ってない」


先生は絵を買う気がない、当然だ、有名になるかどうかなんて保証もない、今買う必要も無い、有名になって欲しくなればその時に買えばいいのだから。


業は納得がいかない様だった。


「どうしたら買ってくれますか」


「お金を貰っても今の君の絵を欲しいとは思わない」


本心だったのだろう、本当に絵に見向きもしなかった。



「これから君は絵が欲しいと思わない人でも欲しいと思うものを作らなければならない」

「それも生活できるだけのお金になる作品をだ」

「簡単なことではないけれど、それでもやるの?」


迷わず答えた

「やります!」


業と竜崎先生の美術室での生活が始まった。


竜崎咲子26歳、高校の美術教師で美術部の顧問でもある。

美術部は部員不足で今年になって部員数が0になり廃部寸前だった。

そんな時に現れたのが一年の業君、正直無茶苦茶な生徒だが、廃部にならないためには入部希望者がいるのは有難かった。


部室では業君がずっと作品を作り、どうしたら売れるかをずっと考えている。


欲しいと思う人に欲しいと思うものを売るのは簡単だ。


しかし、画家として生きるというのは生活が掛かっている以上売れないでは困る。


そこで私が売り方を教えていた。


美大に通っていた頃に両親から見放され学費を自分が描いた絵で賄っていたこともあり、安定はしないが画家として生活はできていた。


同じように苦労する子達の助けになれたらなんて思って教師になった。



1学期も終わり夏休み


「先生、これなら売れますか?」


モナリザをアレンジしたものだった


「これを買ってどうしたらいいの」


思わず笑ってしまいそうになった。


「これじゃあ君の作品じゃなくてモナリザに飽きた人が面白半分で買うだけだよ」


「確かに」


業君は納得したようだった。


発想はとても面白く正直売ろうと思えば売れてしまうものもあった。


しかし、簡単に納得してもらっては困る。


「何のために売るのか、もっと考えて描いてみるといいよ」


欲しいと思うのには必ず理由がある。


それがどんな些細な理由でも欲しい人にはお金を払うだけの価値が生まれる。


業君はいつしか家にも帰らず美術室で生活を送するようになった。


元々私が生活に使っていたので、苦労はしなかったが、いつの間にか美術室で2人で生活するようになっていた。


夏も終わり、冬になる頃


「先生、いつになったら絵を売りに出せるんですか」


業は先生に聞いた。


「2年になったら売り始めようか」


そんな簡単に始められるのだろうか。

業は少し不安になったが、やっと売れることを喜んでいた。



3学期も終わり、とうとう2年生になった業は今日も先生と美術室にいた。



「先生、具体的に売るってどうするんですか?」


「週末、市場にいく」

「自分が売れると思う絵を3つ、あとキャンバスを準備していくからそのつもりしておいて」


業は楽しみで夜も眠れない日々が続いた。


そして週末。


「ここが市場ですか」


大きな倉庫のような場所に多くの人が絵や詩、他にも様々なものを店頭に並べ売っていた。


「こっちだよ」


先生に誘導され向かった先には先生の知り合いだと思われる人がいた。


「初音、今日はよろしく、この子だよ」


「君が話に聞いてた業君か」


「はい、そうです。」


初対面で緊張してしまった。


「じゃあ、自分の分は運んできてね」


先生の運転してきた車から絵を運び出し、持っていくと販売用のブースが完成していた。


「ここで売るから並べるよ」


先生と初音さんは着々と準備を進めていった。


「会場は13〜16時までの3時間開催だから頑張って売ってね」


ちょっとからかうように初音さんは言った。


隣に自分用のブースがあるようで、準備が終わると戻っていった。


開場のアナウンスが流れ、多くの人が入ってきた。


色んなブースに目を向け、気になったところで立ち止まり画家やアーティスト達と話をして欲しいものを次々と買っていった。


「これは君が描いたのかい?」


自分のブースに初めてのお客様が来た。

白髪のおじいさんだった。


「そうです。通っている学校から見えるこの街を描きました。」


「そうかい、いくらだい」


「千円です。」


「これでいいかい」


おじいさんは千円札を渡してくれた。


車まで運びますよ。


小さい絵ではなかった為、おじいさんの車まで運んでブースに戻った。


そしたら、


「やっと戻ってきた。お客さんだよ」


なんと次のお客さんが待ってくれていた。


「この絵が気になってね」


今度はお婆さんだった。


「近くの公園を描いたんです。池があって綺麗な風景だったので。」


「やっぱりあそこの公園だったんだね」


「買わせて下さい」


「千円になります。」


お婆さんから千円受け取り車まで運びましょうか?と聞くと、

娘が取りに来るから待っててと言われ数分後に娘さんらしき人が来た。


「母が失礼しました。」

絵を受け取るとお辞儀をしていった


「いえいえ、ありがとうございます。」


その対応に感化され深々と頭を下げた。


そして終了の時間が来た。


3枚中2枚が売れた。


どうしてかはわからないが、売れた。

すなおに嬉しかった。


片付けを終わらせ、車に戻ると先生が待ってくれていた。


「どうだった?」


「2枚売れました」


「よかった」


「帰ったらまた作品作れよ〜」


軽い感じで先生は言ってくれた。

きっと褒めてくれているのだと感じた。


月曜になり美術室に行くと先生がとある絵を描いていた。


滅多に絵を描かないので驚いたが、その絵に惹かれてしまった。


桃の絵だった


桃の木に生えた沢山の桃の花、右から左に四季が分けられており、だんだんと桃の実がなり冬には枝だけになった桃の木が描かれていた。


「先生、この絵は?」


「あー、これね。ただの趣味」


趣味にしては完成度が高すぎる。


名作って何気ない時に生まれるのだとよくわからないことを思っていた。



「この絵買いたいです」


咄嗟にそんなことを言っていた。


「本気?」


先生は少し真剣な表情で聞いた。


「はい、本当にこの絵が欲しいと思いました」


きっと、買う人はこんな感情だったのだろう。


買う人の気持ちを初めて理解した。


「100万」


「え?」


あまりの金額に思わず聞き返した。


「だから、100万」


「本気で言ってますか?」


「本気だよ」


高校2年生に払わせる金額ではないだろう。

でも先生の表情は本気なようだった。


「買うかい?」


「卒業まで置いといてもらえますか?」


卒業までに有名になってお金を稼げば買える、どうしてもこの絵が欲しい。

そう思った時には言葉が出ていた。


「いいよ」


簡単に了承してくれた。


この生活での新たな目標ができた。

100万貯めて先生の絵を買う。

今まで以上に頑張ろうと思った。



「物好きめ」


小さな声で先生は言った。


「何か言いましたか?」


「何も」


誤魔化すように先生は、部屋を出て行った。




業君の成長はすごかった。

純粋で先生である私よりも視野が広く、私には見えない世界を見ているようだった。


絵が2枚売れたって聞いた時には私まで嬉しかった。


そんな業君は今日も美術室でひたすら作品を作り続けた。



業君の絵を見て、私も絵を描きたくなった。


普段はあまり描かないようにしている。

どうしても自分の絵が好きになれない。


業君が描くような純粋な絵が描けない。

売るために必死で描いてきた絵、今となっては自分をどこかに縛り付けているような、描くために売っていたのか、売るために描いていたのか、わからなくなってしまった。



私が描いた桃の絵、桜の陰で花を咲かせ、実を作り、冬に枯れる。そんな目立たないのに美しい花を咲かせる桃が昔から好きだった。


目立たない私が桃のように陰で美しくいられたらと思っていた。

ただの妄想、自分をそうやって美しいもので隠し偽装することで、誤魔化してきた。


どれだけ繕っても美女にはなれない。


業君の純粋さを見ていると余計に思ってしまう。



業君がこの絵を欲しいと言った時に気づいてしまった。



偽装ばかりして誤魔化してきた私とは正反対の業君のことが好きだったんだ。



気付かないのも当然だ、保護者のような立場でずっと見守っているだけ。


まさか生徒である業君を好きになるなんて想像もしない。



欲しいと言われた時に思わず私を貰ってなんて意味のわからないことを口走りそうになった。


誤魔化す為に無茶な金額を言ったのに本気で払うって言われたら、断れなかった。


それからは意識するようになってしまった。


業君に対してうまく話せなかったり、目を合わせるとドキッとしてしまい、自然と逸らしてしまう。


美術室で一緒にいる時間の長さに耐えきれず、つい理由をつけて出て行ってしまう。


こんなことを繰り返し、半年が経ち、業君との2度目の冬がやってきた。


「先生は寒くないですか?」


「寒いね〜」


「この部活って部費とかあるんですか?」


「ないよ〜」


「え、じゃあこのキャンバスとかどこから買ってるんですか?」


「個人的に買って来てるよ〜」


2年間全く知らなかった。


部費の話なんて聞いたことなかったけど、まさか先生が個人的に買ってきていたなんて。


「それ大丈夫なんですか?」


「大丈夫だよ〜ここにいることがほとんどでお金の使い道もないから」


「あるものは学校の備品そのまま使ってるから大丈夫」


軽い感じで返して来る先生に驚きを隠せないまま、流石にまずいだろうと思い


「先生、自分が使った分くらいは払います」


そう言うと。


「ちゃんと画家になったら考えてあげる」


どうせ返せないみたいに言われてしまった。



「じゃあ、返せるようになったら受け取ってくれるんですね?」


「いいよ〜」


適当な返事だったので、


「先生の生活費分まで稼いで見返してやりますよ」


「はぇっ..//」


本当に見返してやろうと思っただけだったのに先生は驚いておかしな反応をしていた。


「なんですか、その反応」


「な、なんでもない!」


また先生は誤魔化した。



今年最後の絵の販売


月1回のペースでブースに出店し、着々と先生の絵を買う資金を貯めていた。


買ってくれる人も増え、持って行く枚数も10枚以上になっていた。


次こんなのも描いて欲しいと言われることもあり、順調に顔も作風も覚えてもらうことができた。


正直地味なことばかりだったが有名になるって言うのは地道にこうして活動していくことなのだとわかってきた。


「今回も売り切れ」


目標まであと半分までに迫っていた。



年が明け2年の3学期、

本格的に絵を売りに出すため、先生は美術室で週末に展覧会をするといった。


3年の文化祭では物販が解禁されるので、それに向けて学校内での知名度を上げようとのことだった。


いつも販売しているブースとは違い、部員が1人なので、必然的に個展を開いたような状態になる。

なので、多くの人が見たいと思うように方向性の違う絵を何種類か選び系統ごとに展示した。


先生の協力もあり、美術の授業中の題材として使ってくれたり、展覧会の宣伝もしてくれた。


自分でもポスターを作成するなど、出来ることはなんでもやった。



展覧会当日。


開場前だと言うのに外部からも人が来てくれていた。


普段から販売しているブースに来てくれている人もいて、とても楽しみにしてくれているようだった。


開場と同時に10人くらいの人が美術室に入ってきた。


色々なことを聞かれた。


「全部一人で描いたの?」


「この絵素敵ですね。どこの絵ですか?」


「今日は買えないのかい?」


本当に色々な人が来てくれた。


昼を過ぎてからも、部活終わりの生徒や休憩中の教員達も来てくれて、文化祭に向けていい宣伝になったと思う。



文化祭に向けてより一層作品作りにも精が入った。


先生との時間が終わってしまうのもあと一年かと思うと、とても寂しかった。



3年になり、夏休みも明け文化祭が間近に迫ってきた。


文化祭に向けて抱いた作品数は72点


2年の初めから売りに出すために作ったものを一気にここで売りに出す。


値段設定はいつも先生がやっていたのできっといくら売れたのか先生は知っていたのだと思う。


文化祭とは思えない金額設定のものもあったが目標金額は50万


卒業までに絶対にやりたいことがあったので、文化祭で先生の絵を買う金額を早く貯めたかった。



文化祭当日、


仮装をしたり、学校のあちこちでイベントが巻き起こり3年は模擬店やクラスで物販をしたりで大盛り上がり


そんな中、先生と二人で美術室にいた。


「やっと当日ですね」


「そうだな、売れるといいな」


「多分売れますよ」


「だといいな」


「あの1番高い絵は無理かもしれないですけど」


「かもな」



値段を決めた時、1枚だけ桁の違う絵があった。


100万円


正直誰が買うんだって言いたくなった。


作品が悪いんじゃない、他は高くても数万

それでも高いとは思うが1枚だけ100万ってどうなのだろう


先生の意図はわからなかったが素直に従うことにした。



「これが100万の絵か!」


「素人には何が凄いのか全くわかんねぇな!」


文化祭で100万の絵を売ってることが噂になったのか、それを見に来る人も多かった。


18万初日の売り上げは上々だった。


文化祭は2日開催、明日が本番だ。外部からも初日以上に人がくる。



2日目、予想以上の混雑具合で美術室はほぼ満員状態だった。


作品は午前中にはほとんど売れてしまい、午後には数点と100万の絵だけになってしまった。


終了の3時間前には完売状態。

残ったのは100万の絵だけになった。


先生はちょっと早いけど片付けようかと言うので100万の絵だけ残して片付けた。


売り上げは57万、目標は達成した。



片付けを終えた


「帰りますね。今日はありがとうございました!」


「ちょっと待って」


先生は引き止めた。


「最後の絵、売って欲しい」


急なことで何いってるかわからなかった。


「えっと、どう言うことですか?」


「言葉通りだよ」


先生は100万と自分で値段をつけた絵を買うと言い出したのだ。


「先生が100万にしたのに自分で買うんですか?」


「そうだよ」

「はい、これ100万」


先生は札束の入った茶封筒を渡してきた。


「いやいや、流石に100万はやり過ぎですよ。なんの冗談ですか」


笑って言うと


「本気だよ」


あまりに真面目な顔で言うので何も言い返せなくなった。



学校にいつも通り行き美術室に行くと、何事もなかったかのように先生がいた。


「ほら、来週も売りに行くからまた作品作れよ」


いつも通りだ。


「先生、どうして絵を買ってくれたんですか?」


と聞くと。


「なんでもいいだろ、欲しかったからだよ」


少し小声でいった。


「そうですか」


聞きたい気もしたが、怒られそうなのでやめた。



3学期に入った。

文化祭の後、先生に隠れて準備していたことがある。


お世話になったお礼と恩返しと、あと一つ先生に告白しようと思っていた。


学生である以上先生に迷惑はかけられない、美術室で長く先生と過ごして居る内に好きになっていた。


それに気付いたのはあの桃の絵を見た時だ。


まるで先生自身を描いている様だった。


笑った時の可愛い顔、落ち込んだり悩んだり、色々な表情の先生を見ているようで、見た瞬間に先生を表しているこの絵が欲しいと思った。


そして、、先生と一緒にいたいと思った。




怖かった、年の離れた生徒相手に告白されても無理だと。


でも伝えずにはいられないと卒業のタイミングで告白しようと決意した。


そこからは早かった。


告白のために先生のために絵を描いた。


売れる作品じゃない、これは先生のためだけに描いた絵。




完成した。



卒業式の前日だった。




先生には卒業式にお礼が言いたいので美術室に来てほしいとお願いした。



卒業式当日、、



「来たよ、業君、卒業おめでとう」


先生に花束を渡される。


「ありがとうございます!」

「先生、約束覚えてますか?」


「なんのこと?」


「これ、100万円です」


「本気だったんだ」


本気だと思われてなかった。


「本気ですよ」


真面目に返した。


「それだけじゃないんです」


隠していた絵を出す。


「先生のために描きました」


先生は泣き出した。


送った絵は美しい桃の花が咲いた木の絵だった


「桃が好きなの知ってたの?」


泣きながら話す先生をなだめながら


「知ってますよ。どれだけ一緒にいたと思ってるんですか」


「あの桃の絵、先生自身のような気がして欲しくなったんですよ」


「そんなの聞いてない」


また先生は号泣した。


「初めて言いましたから当然です」


「ばか」


怒られてしまった。


「先生、好きです。もう卒業なので会えなくなるなんて嫌です。これからも一緒に居て下さい。」


「ばか、ばかばか……///」

「こっちからお願いしたいぐらいだよ」



本当に嬉しかった。先生とこれからも一緒に居られる。


画家がどうだとか忘れてしまうほどに嬉しかった。



「先生、本当に大好きです」




先生と付き合った。



それから数日が経ち、冷静になった先生が聞いた。



「こんな偽装まみれの桃の花でいいの?」


「今更何言ってるんですか、偽装してるのは身長くらいですよ」


先生は背がそんなに高くない。

一緒に歩くときは少し底の高い靴を履いていた。


「殺す」


怖かった。


「それよりも先生はどうして100万の絵を買ってくれたんですか?」



「あれね、業君との思い出の場所だったからだよ」


先生が買ってくれた絵。

美術室を描いただけの絵。

色々と描いた絵の中で1枚しか描かなかった美術室の絵。




今なら分かる。



先生にとっても、二人にとっても、




あの絵には100万円以上の価値あるものなんだって。

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