永遠の片想いを君へ

岩井あんず

第1話

チュンチュンチュン、鳥の鳴き声で起きる。

「くぁ〜」と大きなあくびが出た、布団から出て部屋を出ると玄関のポストに入った手紙に目がいく、玄関に行きポストから手紙を取り出す

とそこに書かれていた差出人は小野田涼真からだった、その名前を見ると懐かしさと同時に辛さがあった。彼とは学生の頃付き合っていた過去がある、ただそれだけなら辛さは要らないだろう、でも私は25にもなるのにあの恋を忘れられずにいるのだ。別に特別なことは何も無かった、思い出の場所も日も物も何も、ありはしない。なぜなら、私たちは1週間で別れたからだ。きっと周りからはそんなの付き合ったうちに入らないなんて言われるだろう、でもいいんだ、

お互いに付き合っていたとゆう過去があるならそれで私はいいんだ。ドキドキしながら手紙の封を開ける、そこに書かれていた内容は彼の結婚式の招待状だった。私は驚いた、彼の結婚にたいしても、招待状にたいしても。みんなは普通元恋人に結婚式の招待状を送るか?私だったら送らない。一体何を考えて送ってきたんだコイツは、バカは昔から変わってないみたいだ。

手紙をリビングのソファーに投げ捨て、スーツに着替え会社に向かった。いつも通り自分のディスクに座ろうとすると誰かに話しかけられる、同僚の山崎だった。山崎は学生時代からの友人でもあった、「よう、おはよう!」随分と機嫌がいいみたいだった。自分もおはようと言いかけたときに山崎が話し出す。「なぁお前さ、小野田から手紙届いた?」だいたい予想はつくが届いたと頷く、「そうかそうか届いたか、もちろん行くよな?行かないなんてないよなぁ、友達の結婚式だもんなぁ〜」と案の定ニヤニヤしながら言ってくる、「行かないよ、後ウザイから自分のディスクに早く戻れ」ふざけやがって、アイツとの関係を知ってるくせになんて奴だ。「ハイハイ戻ります戻ります、でも行けよ結婚式」とまだ言ってきた。早く戻ればいいものをコイツは!と怒りそうになった時にまだ続けて話す。「アイツの結婚式を見てお前のその恋を終わらせろ、それがお前の為になる」と言いディスクへ戻った。お前に何がわかる、好きな人と付き合えているお前に私の気持ちの何がわかる、ずっと好きで両思いだって知った時どれほど嬉しかったか、付き合った日より両思いの時間が長かったせいか振られた時辛さが尋常ではなかった。両思いである時間が長ければ長いほど付き合いは続くと思っていた、でも違った、あまりにも長すぎたんだ両思いの時間が、片思い1年、両思い5年、恋人1週間。楽しかった日々は幕を閉じた、誰にも私の気持ちは分からない、どんなに辛いか、分かるはずがない。「…恋を終わらせろか、無茶を言うなよ」。その日は最悪だった、片思いの相手の結婚の知らせに大雨、ミスは無かったものの仕事に集中できなかった。顔色が悪かったのか上司が見かねて早く帰らせられた。コンビニにより弁当を買い家に帰った。買ったはいいものの食欲がわかない、「はぁ」ため息がこぼれる、弁当を冷蔵庫にしまいソファーに座りテレビをつけニュースを見ていると手に何かが当たる、手紙だった。ソファーに置いていたのをすっかり忘れていた私は驚くがすぐに思い出した。手紙を手に取り招待状を取り出すと招待状の他に紙が入っているのが分かった。読んでみると(荒井へ、俺は昔の事を忘れた訳では無いし当てつけでもない。ただ友達としてお前に来て欲しいと思ったから送った。きっと来たくないと言うだろうが来てくれ、別に祝わなくていい、懐かしいみんなが来る、会えるチャンスだろ?だからみんなに会いに来てくれ。自分勝手で悪かった昔も今も。小野田より)と書かれていた。「友達として…か」確かにあの時あの瞬間振られた私は友達に戻ろうと言ったが、1度付き合ってしまったらもう私は友達だった頃に戻るとはできなかった。だって私と君には元カレカノという名の壁で塞がれているんだからさ。

でも確かに懐かしの友達みんなには会いたい、振られたあの後奇跡的に引っ越したせいでみんなに会うことが無くなっていた。だからみんなに会いたい、だから仕方なく私も結婚式に参列する事にした。時間が経ち結婚式の日になった。大丈夫、今日ここで山崎が言った通りこの恋を終わらせるんだ。「きっと、大丈夫」と口にする。会場に着くと席に案内される、前から3番目だった。どんどんと人が集まってくる、懐かしいみんなが集まってきた、久しぶりにあったので抱き合って喜んだ。一時みんなと話していたら花嫁の登場時間になった。私は見ないように下を向いたが隣に座っていた山崎に顔をあげられる、「ちゃんと見るんだ、終わらせるんだろ」と言う。そうだ、終わらせるんだ、いやでも見ろ私と花嫁を見た、綺麗な人だった、アイツには勿体ないくらい。次に新郎が入ってきた、アイツだった、変わらない顔だった、まるびを帯びた頭に子供っぽい表情全てが私の好きだった頃と変わらないままだった。きっとたまたまだろうが目が合ってしまった。かすかに微笑んだ君を見て私はまた君に恋をするのだ。

そんなこと君は知らず、結婚するのだ。

あぁ、分かっていたはずなのに、君を嫌いになることなんてできないって分かっていたはずだったのに、こうしてまた私は君に囚われていくのだろうずっとずっと君に恋をして、君が花嫁を愛す時、君の知らぬとこで私は君を想うのだろう。この恋は終われない、1度知ってしまった恋はもう忘れることはできないんだ。この恋が報われなくても君を想うだけで幸せなんだ。だからずっとずっと永遠の片思いを君へ。

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