春になるとやってくるバイク乗りのジェシーと、その彼に憧れる少年フランシスのお話。
グッときました。すごい。とってもいい話……。
序盤や中盤は単純に、大人に憧れる少年の物語として読んでいたのですけれど。
でも最後の最後、気づけばものすごいところまで連れて行かれていた、というような感覚。
このストーリーテリングの妙というか、自然な流れで大きな物語へと導いてくれる、語りの手管の気持ちよさがものすごい。
本当にざっくり中身を要約してしまうと、ある種のはみ出しものたちの物語です。
本作の世界においては「バイク乗り」という形で存在しているのですけれど、その彼らの生き様というか性分のようなもの等々、ともすれば重くなりそうな物語を、でもとても自然に著してみせる作品。
いやもう、こればかりは本当に、ただ「本編を読んで」としか言えません。
胸にじわりと染みる終盤の展開、とりわけ最後がもう本当に大好き。
主題の太さと、それを語る言葉の柔らかさの光る、とても素敵な作品でした。