operation 6 そして神殺しを目指した1

 視界(目は潰れてる)がぐるぐると回る。

 異次元のような物が俺の体を吸い込み異世界へといざなった


「うっぷ、オロロロロッ!!」


 俺は異世界に来た途端に嘔吐した。

 夢にまで見た異世界であったが、空気がとても不味いのと、視界がぐるぐると回ったせいなのか限界が来たのだ。


「此処は? ダンジョンなのか?」


 俺は目の腫れが治った事で周りの景色を確認し、自分がいわゆるのような所に来ている事が分かった。


 俺は自らが授かったチート能力が分からない今、隠れて試す事を考えた。

 周りを見渡すと目の前に危険性のある怪物や動物はいないみたいだ。


「──チュチュチュ?」


 俺の視界外にネズミの声がした。

 ネズミ程度ならチート能力が分からない今の俺でも簡単に倒せるだろう。


「よし、最初の獲物はお前──」


 後ろを振り返るとネズミと思わしき影があった。

 しかし、その影の大きさは桁違いで俺の体格の3倍はある大ネズミであった。


「──チュチュチュ!!」

「あぁ、嘘だろ?」


 目の前のネズミは口を俺の体が丸ごと入る程開き飲み込もうとした。

 異世界に来た途端に殺されるのか?

 能力も分からない、異世界に来てまだ何も出来ていないのに──


「──チュチュチュ!?」


 俺がネズミの方を見た瞬間にネズミは血の泡を吐く。

 そしてネズミの体は少しずつ消滅を始め、ものの数分で灰すらも残らず消え去った。


 これで能力がはっきりした。

 俺は女神の言っていた目に関係した能力であると分かった。

 つまり、この目で相手を見た場合相手の命を吸い取ると言う事か、神と言うよりかはと言う方が正しいだろう。


「これが……俺の力? 普通にチート過ぎるだろこれ」


 俺はダンジョン内に存在する魔物や怪物を一方的に蹂躙じゅうりんした。

 その結果、ダンジョンに残ったのは一人の人間……いや、もはや人間とは違う力を得た怪物だけであった。


 しかし、俺は考えた。

 この力は無関係の者にまで危害を加えかねないとても危ない力である。

 そこで、俺は目隠しをして生活を送る事にしたのだ。



 数ヶ月が経過し、目隠しに慣れた頃俺はある事に気がついた。


「そういえば、俺何も食べていないし飲んでいないけど体は大丈夫なのか?」


 俺は数ヶ月目隠しをして生活を送り、音や感覚等で周りを把握する事を覚えたがその間に食べ物や飲み物を一度も摂取していなかったのだ。

 しかし、空腹や体の怠さ、そして脱水等の症状は見られなかった。

 これも女神から貰ったチート能力のおかげなのだろう。


──コツ、コツ


「──誰だ!?」


 洞窟内は俺以外の生物の気配が完全に消失していたが、洞窟の上の方から足音がした。

 この洞窟の中に生物や人間が入り込んだ危険性があった為警戒を強めた。


「──えっ、高崎くん!?」

「──っ、楓なのか!?」


 洞窟に来た気配の正体は楓のようだ。

 経緯は分からないが楓はこの洞窟へ探索に来たらしい。


「──!!」

「──高崎くん!! なんで私達と一緒じゃ無かったの!? 私、心配していたんだよ」


 楓は声を震わせながら俺に抱きついた。

 確かに、数ヶ月も消息が途絶えていたのなら無理も無いが抱きついてくる程の事は無いだろう。


「おい、やめてくれ……恥ずかしいだろ」

「ごめん、でも不安で心配だったの……高崎くんも、もう死んじゃったのかと思って」

「えっ、転移した中で何人か死んだのか?」


 俺は、自分が最強になった事でクラスの仲間を忘れていた。

 仲間は俺の様な力や能力は持っていない、ただの一般人である。

 唯一戦えるとすれば、嫌太だがあいつの性格上、誰かの為に戦う事は嫌うだろう。


「う、うん……確認しているだけでも5人は死んじゃって、4人は行方不明で残りの人もほとんど疲弊してる」

「そんな……いったい何があったんだ!?」


 俺もそこまで酷い状況とは理解が出来ていなかった。

 この異世界はそこまで厳しい環境なのだろうか……それとも俺たち転移者を狙う刺客なのか、それは不明であった。


「──転移者の間引き……選抜だよ」



 あれから話を聞き、俺は今の状況を全て理解した。

 クラスごと転移させた少年の所在は現在も不明であること。

 転移者の中には異世界に来た時に能力が開花した者がいたこと。

 王都と呼ばれる場所に巨龍と呼ばれる魔物が現れ、耐性の低い非能力者は全て死亡したと言うことであった。


「そして、私は巨龍を倒せる程の力を持った人を探して旅をしていたけど……この洞窟に人の形をした怪物が出たと言う事を聞いて来てみたら高崎くんがいたの……」

「そうか……分かった、俺がその巨龍をなんとかしよう」


 俺は自分の力を使えば巨龍くらいなんとかなると言う事がわかっていたので巨龍を殺す事を引き受ける事にした。


「──本当!? 高崎くんはこの世界に来てどんな能力が開花したの?」

「それは、あっちに行ってからのお楽しみだな。てか、あっちに行く時はどうすればいいんだ?」

「──えっと、徒歩です」

「えっと、マジ?」

「YES、マジです」



 数日をかけて王都ノイエベルトに到着したが、俺と楓は(特に楓)徒歩の疲弊で今にも倒れそうであった。

 目の前には王城がある。

 王城の上に巨龍と呼ぶに相応わしい程の強大な龍が佇んでいた事を確認した。


「よし、じゃあ始まるか。楓、俺の後ろに居てくれよ?」

「──?」


 楓は不思議そうに、俺の後ろに隠れた。

 俺は、目隠しをとり巨龍の方に視点を向け、巨龍を深く見つめる。


『──グルルルル、探したぞ使、死眼の勇者』

「──なぜそれを!?」


 俺は巨龍を見つめながら動揺する。

 神の存在は一応、楓にも確認したが知らぬと言う事であった。

 つまり、この巨龍は神の存在と俺の能力についてを知っていた。


『当然だ、あの神は我々全ての生命に対する敵であるからだ』

「そんなはずは無い!! あの神は俺にこの力を分け与えた女神のはず!?」

『どうやら、上手く丸め込まれたらしいな……まぁ、その死眼を受け取った時点で遅いがな』


 どういうことだ?

 俺が神に利用されている?

 初めてそんな事実を聞いた俺は困惑と動揺を隠せずにいた。


『どうやら、我の力では貴様と相性が悪いらしい……ここまでのようだ』

「ま、待て! 神とは一体なんなんだ!?」


 俺の力で消滅していく巨龍に対して一番に気になる質問を投げかける。


『概念を恐怖する……世界の権化──』


 俺の力によって巨龍の体は消滅した。

 概念を恐怖する、世界の権化とは一体なんなのだろうか。

 俺をこの世界に送った理由、そして天界に俺一人が召喚された理由はなんなのだろうか。

 巨龍という存在を殺してしまった俺に、それを知るすべは無くなった。


「──凄い、高崎くん凄いよ!! あの巨龍を数分で倒してしまうなんて……」

「あっ、ああそうか……」

「どうしたの、そんな浮かない顔をして?」

「いや、何でもない……」


 俺は自らに残る疑問はあったが、それを置いて皆に会うことを選んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 うん、やっぱり書ききれなかったか……

 すみません!! やっぱり次回で神を恨む理由が分かるはず!!

 次回は、性描写?がある可能性がありますので、注意をお願いします!!

 次回もお楽しみに……٩( ᐛ )و

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〜最強勇者は使わない〜 最強勇者はチート能力を使わずに努力と実力そして愛の力で捻じ伏せます 怠惰なラー油 @0615kakuyom

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