Poltergeist

八月尽（やつきじん）の冷笑

たぶん真夜中の捨て子かな

標識が折れたガードレールの傍（わき）に

蕗の下で枯れ蔦（つた）が抱えている

赤く染まった小さな箱に居た

タイムカプセルを探す鼻歌は

独り路傍人（ろぼうにん）を交わし

逃げ水に、ひたひた蹠（あしうら）を着けて離す

疑うしか生きる術を見出せなくなって

偽悪が過ぎ独活（うど）の偽物呼ばわり

願ってもいないのに

祓い屋が諭す念物は悲哀botみたい

弱者と称（よ）べば手を差し伸べてくれた？

すすり泣くあの子どもは過去の自己（じふん）

見つけて欲しくて隠れん坊を繰り返しては

飽きてブランコで遊んでいる

卒業写真は僕だけ霧が掛かって姿は無い

大切を壊される前に壊して来た

変わり行く町へ立ち尽くし叫んでは

「返して。それは思い出じゃ無い僕だ」

這いつくばって震えてた

仮に僕が玻璃の涙だったら喜んでくれた？

星空は御近所さんを描いて

歪に腫れた石は退けている

月のクレーターは、まるで障子の目

一斉に見られたら暗闇鬼ごっこの合図

「月とも仲良く成れ無いみたいだ」

朝日が昼を引っ張って逼（せま）る前に

シャボン玉にでもなってしまいたいんだ