最終話 自由生活
ダルネア師団は、事後処理の為の一部の部隊を現地に残して砦に帰還した。
帰還の翌日には、各自に
その自由休を終えた翌日
「今日の師団の全体集会、珍しくエリザ大隊長の訓示だったな。
師団長たちどうしたんだろ?」
とリドが聞いてくる。
いや、俺だって何も聞いてないよ。
「そうだな、いつも師団長が留守の時はコード副師長が代わるから、
どっちも出かけてるんじゃないか?」
分隊長、ありがとうございます。
サラマンダー討伐は完了して、これで魔晶石の採掘が再開される、
これで
「あ~~~ 平和っていいな~~~」
王国首都
王城内、国務会議室
一番奥には、紫紺の無縁帽を被った柔和な容貌の老人が座っている。
その横にはおよそ40代の厳しい顔をした男性が黒いローブを着て立っている。
テーブルの上には幾つかの書類が置いてあり
老人は手元の書類を見て、眉をしかめた。
「ダルネア師団長、
今回のサラマンダー討伐の件、報告書は読ませてもらった。
しかし、すまないが初めて聞く情報が多すぎて、理解が追い付かないのだが。
まず、第5魔法を使用とあるが、一体、何時こんなものが見つかったのか?
教えてもらえないだろうか?」
ダルネア師団長は「ふんっ」と鼻をならし
「国からは、魔晶石の採掘とサラマンダーを排除を
両立する方法は思いつかないから。
師団で考えて何とかしろと暖かい言葉を頂いたのでね。
それを両立する為に第5魔法を作ったのさ。
理に適っているじゃないか?」
国王の隣に立つ宰相が厳しい口調で詰問する。
報告書をみると【氷よりも冷たく】【窒息する】等かなり危険な魔法に見えるが、
こんな魔法を師団の魔法士全員に覚えさせたのか?」
「ああ、実際2個大隊の詠唱でやっと仕留めたからね。
教えといて良かったよ」
「運用に危険はないのかね?」
「そりゃ危険だよ。だから全員に危険性と
使っていい場合と、使うと危ない場合を叩き込んだ」
「よく全員が覚えたね、未知の魔法だろうに」
「皆がエサにつられてね、
他の訓練もあれくらい熱心にやってくれたらありがたいんだがね」
師団長の隣のコード副師長が、何故か目元を押さえた。
「あんたらにも、うちの魔法士達が目の色を変えた物を
食べさせてあげるよ」
副師長がテーブルの上の箱から、銀色の筒を取り出した。
「ダルネア師団長、礼を言おう。非常に美味であった」
「確かに味わった事の無い物だった」
「そうだろうよ、これを食べる為に
うちの魔法士たちが必死に魔法を練習し、
近隣の街から材料のラクト乳を消費し尽くしたんだ」
「気持ちは分かるが、凄まじいな」
「ああ、だからうちの魔法士は、この魔法の扱いを
ある意味知り尽くしているんだ」
「しかし、この魔法を見つけた魔法士の名前が
書かれてなかったのは何故なのだ?」
「書類に残して良いのか判断出来なかったのだよ、
「いや、ダルネア師団長が判断できないとは
他国の機密でも絡んでるのか?」
「いや、この魔法を見つけたのは
うちの部隊の新人なんだけどね、名前が《ジミー》なんだ」
「ジミー? ジミー《時の王》か?」 「ジミー《大迷惑》か?」
「ほう、あんたらはそう言うのかい?
こんな名前の子が見つけたものを迂闊に公文書に残せないからね
どうしたら良いか相談に来たんだよ」
国王はもう一つの書類を手に取った。
「功績は第5魔法の発見と指導・教育・運用・活用方法の開発。
サラマンダーの攻略案の検討と実施案の作成。
特定の医薬品開発。
非常時における魔法士以外による集団詠唱魔法の行使法を発見・・・か、
とんでもないな」
「ああ、新人では置いとけないわな」
「師団長に何か案はあるのか?」
「あれは色々やらせると結果的に何かを作り出す。
これを作れと言っても、多分別の物が出来てしまう」
「ああ、それは困ったな」
「今回も氷の魔法を作ろうとして、出来たのがアレだからね。
しかも出来たアレをきっちり使ってみせた」
「誰かの下に置いたら、上司がかわいそうだな」
「あんたもそう思うかい?
だから部隊の頭に置いて、色々な所へ行かせるのも面白いと思ったんだ」
「部隊か? どの位の規模がいると思う?」
「
「名目がいるな、新魔法の教導隊にでもするか」
「そうだね、黙ってても何かやらかして
新しい物を作りそうだし。いいんじゃないか」
「よし、その方向で行こう。新部隊の発足発表はどうする。
中隊長の就任式と? 王都で大々的にやろうか」
「そうだね、ジミーの門出だ、盛大にやってやろうか」
完
異世界転生魔法士の不自由生活 黄昏 暦 @kaku_twilight
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